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2026年4月1日時点

国宝1,150件のうち64.6%が3県に集中。1位は東京の293件、京都242件・奈良208件が続く。

公開日: 2026-05-09
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国宝1,150件のうち64.6%が3県に集中。1位は東京の293件、京都242件・奈良208件が続く。

国宝1,150件のうち64.6%が3県に集中。1位は東京の293件、京都242件・奈良208件が続く。

「国宝といえば京都・奈良」という直感は正しい。ただし1位ではない。

文化庁が公表する都道府県別の国宝指定件数(2026年4月1日時点)によると、全国の国宝総数は1,150件。1位は東京都の293件、2位は京都府の242件、3位は奈良県の208件。3県合計で743件、全国の64.6%を占める。

残り44県で407件、つまり全国の3分の1強しかない。最下位は徳島県・宮崎県で、国宝はゼロ件。

国宝の都道府県別件数 全47県

数字の前に:国宝とは何か

このランキングは文化庁「国宝・重要文化財等都道府県別指定件数」(2026年4月1日時点)の最新公表値。文化財保護法に基づき、重要文化財の中から特に価値が高いと指定されたものが「国宝」と呼ばれる。

国宝は2区分に分かれる:「美術工芸品」(絵画・彫刻・工芸品・書跡・典籍・古文書・考古資料・歴史資料)と、「建造物」(社寺・城郭・住宅等)。本記事の「国宝計」はその合計件数。

「件数」は指定された個別の作品・物件単位。京都の三十三間堂のような大規模な仏堂群でも、千手観音像群のような複数の像でも、指定単位で1件としてカウントされる。

1位は東京都の293件、明治以降の集積

東京都の国宝293件は、京都府(242件)を51件、奈良県(208件)を85件上回って全国1位。これは「東京が古都」だからではなく、明治以降に首都となって以降、博物館・大学・寺社・個人所有を通じて文化財が集積した結果と説明される。

東京国立博物館は単独で国宝89件を所蔵し、これは1博物館としては国内最多。他にも国立科学博物館・三井記念美術館・五島美術館・出光美術館・根津美術館など、私立を含む大型ミュージアムが集中する都市。寺社では浅草寺・神田明神・湯島聖堂など、近世以降に集積した建造物・宝物がある。

「京都・奈良で生まれた国宝が、明治以降に東京で買い集められた」という側面が、1位東京を作った構造の一部だ。

京都242件・奈良208件は古都の蓄積

京都府の人口は約254万人、奈良県は約130万人。国宝の絶対数も多く、人口10万人あたりに直すと京都府は9.5件、奈良県は16件で、突出して多い。

順位 都道府県 国宝件数 全国比
1位 東京都 293 25.5%
2位 京都府 242 21.0%
3位 奈良県 208 18.1%
4位 大阪府 63 5.5%
5位 滋賀県 57 5.0%
6位 和歌山県 36 3.1%
7位 兵庫県 21 1.8%
8位 神奈川県 19 1.7%
8位 広島県 19 1.7%
10位 栃木県 17 1.5%

京都は平安京以来1,200年の都として、奈良は平城京以来の古都として、その地に建造され今も残る寺社建築・仏像・古文書が国宝に指定されている。京都の鹿苑寺金閣・慈照寺銀閣・清水寺・東寺、奈良の東大寺・興福寺・薬師寺・法隆寺など、社寺の名前を聞けば誰でも思い浮かぶ建造物が並ぶ。

4位以降は近畿が続く。大阪63件、滋賀57件、和歌山36件、兵庫21件。近畿圏(京都・奈良・大阪・滋賀・和歌山・兵庫)合計で627件、全国の54.5%。古都圏の蓄積の厚みが、現代の指定件数に直結している。

重要文化財でも上位3県が圧倒的、東京は2,868件

国宝の前段階にあたる「重要文化財」(国宝の指定候補となる文化財)でも、上位3県の集中は変わらない。

順位 都道府県 重要文化財件数
1位 東京都 2,868
2位 京都府 2,241
3位 奈良県 1,339
4位 滋賀県 836
5位 大阪府 685

東京都の重要文化財2,868件は奈良県(1,339件)の2.14倍。重要文化財の指定基数が大きい都市ほど、その上位の国宝候補も多くなる構造。

なお、本データでの重要文化財の都道府県別合計は1万3,543件(2026年4月時点)で、そのうち1,150件(約8.5%)が国宝に指定されている。

史跡・名勝・天然記念物は奈良の集積

別の文化財カテゴリ「史跡名勝天然記念物」(特別史跡・特別名勝・特別天然記念物を含む総件数)になると、勝者が変わる。

都道府県 史跡 名勝 天然記念物
奈良県 118 8 18
京都府 71 38 9
大阪府 70 16 11
北海道 55 3 34
福岡県 97 1 6

奈良県は史跡118件で全国1位。古墳・寺院跡・宮跡・遺跡など、地中に埋もれた遺構を含む文化財カテゴリでは奈良が他県を引き離す。

京都府は名勝38件で全国1位(2位の和歌山は8件で4.75倍差)。庭園文化が長年続いた京都の特徴が表れている。

国宝0件は徳島と宮崎、44県には1件以上ある

国宝0件は全47都道府県中、徳島県と宮崎県の2県のみ。それ以外の45県は最低1件以上の国宝を保有している。

下位6県の内訳は次の通り。

順位 都道府県 国宝件数
42位 秋田県 1
42位 群馬県 1
42位 新潟県 1
42位 佐賀県 1
46位 徳島県 0
46位 宮崎県 0

国宝1件の県もあれば、東京の293件のような県もある。1位と最下位(0件)を比較する倍率は計算不能(ゼロ除算)だが、1位東京と42位の秋田・群馬・新潟・佐賀(1件)で293倍差にあたる。

文化財の指定は古社寺・博物館・美術館・大学などの集積に依存するため、現代の人口規模だけでは決まらない。古都の蓄積(京都・奈良)と近代以降の集積(東京)が、上位3県の構造を作っている。

上位10県の文化財4指標 比較

「文化財の都」と「文化財の集積地」は違う

47県の文化財の地図を眺めると、3つの構造が見える。

第一に、東京の集積。明治以降の首都集中で、博物館・美術館・大学・寺社が国宝を集めた。「文化財が生まれた地」ではないが「文化財が集まった地」として1位。

第二に、京都・奈良の蓄積。古都に1,000年以上残る建造物・仏像・古文書が、数世代を超えて国宝指定を受けてきた。「文化財が生まれた地」がそのまま「文化財が残る地」になっている構造。

第三に、近畿圏(大阪・滋賀・和歌山・兵庫)の周辺集積。京都・奈良の影響圏として、文化財の蓄積が地理的に広がっている。

44県で残り35.4%を分け合っているのが、日本の文化財の分布の現状。「日本の文化財はどこに?」と聞かれれば、まず東京・京都・奈良。それ以外の県は、それぞれの地域文化を細々と支えている形になる。

全47都道府県 国宝指定件数ランキング

2026年4月1日時点の都道府県別国宝指定件数を全47県で並べる。単位は件、全国比は全国計1,150件に対する割合。

順位 都道府県 国宝件数 全国比 順位 都道府県 国宝件数 全国比
1 東京都 293 25.5% 22 山形県 6 0.5%
2 京都府 242 21.0% 22 福井県 6 0.5%
3 奈良県 208 18.1% 22 香川県 6 0.5%
4 大阪府 63 5.5% 25 山梨県 5 0.4%
5 滋賀県 57 5.0% 25 島根県 5 0.4%
6 和歌山県 36 3.1% 27 埼玉県 4 0.3%
7 兵庫県 21 1.8% 27 千葉県 4 0.3%
8 神奈川県 19 1.7% 27 大分県 4 0.3%
8 広島県 19 1.7% 30 青森県 3 0.3%
10 栃木県 17 1.5% 30 福島県 3 0.3%
11 静岡県 13 1.1% 30 鳥取県 3 0.3%
12 愛媛県 12 1.0% 30 高知県 3 0.3%
12 福岡県 12 1.0% 30 長崎県 3 0.3%
14 長野県 9 0.8% 35 北海道 2 0.2%
14 愛知県 9 0.8% 35 茨城県 2 0.2%
14 岡山県 9 0.8% 35 富山県 2 0.2%
14 山口県 9 0.8% 35 石川県 2 0.2%
18 岩手県 8 0.7% 35 熊本県 2 0.2%
19 宮城県 7 0.6% 35 鹿児島県 2 0.2%
19 岐阜県 7 0.6% 35 沖縄県 2 0.2%
19 三重県 7 0.6% 42 秋田県 1 0.1%
42 群馬県 1 0.1%
42 新潟県 1 0.1%
42 佐賀県 1 0.1%
46 徳島県 0 0.0%
46 宮崎県 0 0.0%

注:単位は件。「全国比」は全国計1,150件に対する各県の割合。データは文化庁「国宝・重要文化財等都道府県別指定件数」(2026年4月1日時点)。


もっと詳しく

データ出典: 文化庁「国宝・重要文化財等都道府県別指定件数」(令和8年4月1日 = 2026年4月1日 現在)

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