ものがたり
国内 2024年/インバウンド 2025年

インバウンド消費が国内日本人を上回る県は3つだけ。東京は2.3倍、最下位の島根は1.3%。

公開日: 2026-05-07
#観光#インバウンド#訪日外国人#東京#大阪#京都#観光消費
インバウンド消費が国内日本人を上回る県は3つだけ。東京は2.3倍、最下位の島根は1.3%。

インバウンド消費が国内日本人を上回る県は3つだけ。東京は2.3倍、最下位の島根は1.3%。

「インバウンド」「観光大国・日本」という言葉が、ここ数年のニュースで連日登場する。

ところが、観光庁の都道府県別集計を見ると、訪日外国人観光客(以下、インバウンドと記載)の消費額が国内日本人の旅行消費を上回っている県は、たった3つしかない。東京(226.2%)、大阪(174.2%)、京都(106.4%)。残り44県では、観光経済を支えているのは依然として国内日本人だ。

全国合計では国内日本人の旅行消費が18.4兆円、インバウンド消費が8.6兆円。比率にすると47.1%で、まだ日本人が観光経済の半分以上を占めている。

最下位の島根県は、インバウンド消費が国内日本人の1.3%(インバウンド23億円 vs 国内1,699億円)にとどまる。福井1.5%、福島2.3%、群馬2.8%と、地方ほどインバウンド依存は低い。

インバウンド比率:47県の塗り分け

数字の前に:データの定義と年度の違い

このランキングは、2つの観光庁調査の都道府県別集計を比較している。

国内日本人の旅行消費は「旅行・観光消費動向調査」の2024年年間値、インバウンドの消費は「インバウンド消費動向調査」の2025年年間値。両調査は年度が1年ずれているため、厳密には「同じ年の比較」ではない。ただし観光業の構造的な比率を見るには十分参考になる。

両者を県別に並べて、比率=(インバウンド消費)÷(国内日本人消費)×100% で計算した。値が100%を超えると「インバウンド > 国内」、100%未満は「国内 > インバウンド」を意味する。沖縄県は両調査とも対象に含まれている。

東京のインバウンド消費は32,867億円、国内日本人の2.3倍

東京都はインバウンド大国・日本の象徴的な県で、インバウンド比率は226.2%。インバウンド客が東京で2089万人訪れ、3兆2,867億円を使った(2025年)。一方、国内日本人の東京旅行消費は2024年で1兆4,533億円。差は2.3倍。

指標 インバウンド(2025年) 国内日本人(2024年) 比率
訪問者数 2,089万人 5,695万人 36.7%
消費単価 15.73万円/人 2.55万円/人 6.2倍
消費額 32,867億円 14,533億円 226.2%

訪問者数では国内日本人がインバウンド客の2.7倍多いが、消費単価はインバウンド客が日本人の6.2倍。「数で日本人、金額でインバウンド客」という構造が、東京の観光経済を作っている。

大阪174%・京都106%が続く、インバウンド逆転は3県のみ

東京以外でインバウンド比率が100%を超えるのは大阪府と京都府。

順位 都道府県 インバウンド消費 国内消費 比率
1位 東京都 32,867億円 14,533億円 226.2%
2位 大阪府 16,688億円 9,580億円 174.2%
3位 京都府 6,802億円 6,391億円 106.4%
4位 福岡県 4,728億円 5,667億円 83.4%
5位 愛知県 2,710億円 5,394億円 50.2%

大阪はインバウンド1兆6,688億円 vs 国内9,580億円で1.74倍。京都はインバウンド6,802億円 vs 国内6,391億円で1.06倍。京都はインバウンドと国内がほぼ拮抗していて、わずか411億円差でインバウンドが上回っている。

4位以降は国内がインバウンドを上回る。福岡83.4%、愛知50.2%、沖縄37.6%、北海道33.6%。これらの県はインバウンドも多いが、国内日本人の旅行消費がそれ以上にあるという構図。

北海道・沖縄は地方型観光地として独特の構造

インバウンド比率が30%台の北海道(33.6%)と沖縄(37.6%)は、観光地として有名な県だが、消費の主体はあくまで国内日本人。

都道府県 インバウンド 国内 比率 インバウンド単価
北海道 4,512億円 13,440億円 33.6% 14.99万円/人
沖縄県 2,892億円 7,688億円 37.6% 12.56万円/人

両県ともインバウンド客の消費単価は10万円超で、東京(15.73万円)に次ぐ高水準。それでもインバウンド比率が低いのは、国内日本人の観光客数が圧倒的に多いから。北海道は国内3,123万人、沖縄は969万人と、地方型のリゾート観光が国内市場を厚く持つ。

国内消費単価でも沖縄は7.93万円/人で全国1位、北海道は4.30万円/人で全国2位。離島・遠隔地ほど滞在が長く、消費単価が積み上がる構造が見える。

47県のうち40県はインバウンド比率30%未満

47県全体を見ると、インバウンド比率30%以上の県は東京・大阪・京都・福岡・愛知・沖縄・北海道の7県のみ。残り40県はインバウンド比率30%未満で、国内日本人が観光経済の主役。

下位10県は次の通り。

順位 都道府県 インバウンド 国内 比率
38位 徳島県 34億円 673億円 5.0%
39位 山口県 93億円 2,001億円 4.6%
40位 秋田県 45億円 1,222億円 3.7%
41位 栃木県 170億円 4,875億円 3.5%
42位 三重県 143億円 4,337億円 3.3%
43位 高知県 31億円 1,002億円 3.1%
44位 群馬県 111億円 3,975億円 2.8%
45位 福島県 95億円 4,145億円 2.3%
46位 福井県 37億円 2,480億円 1.5%
47位 島根県 23億円 1,699億円 1.3%

最下位の島根県はインバウンド23億円・国内1,699億円で比率1.3%。1位東京(226.2%)の174分の1の比率。「インバウンド」という言葉が均等に届いているわけではないことが、数字で分かる。

都道府県別 インバウンド vs 国内消費の対比

全国合計では国内日本人18.4兆円、インバウンド8.6兆円で日本人主導

全国合計で見ると、国内日本人の旅行消費は18.4兆円、インバウンドの消費は8.6兆円。比率は47.1%で、インバウンドが国内の半分弱にとどまる。

「インバウンド消費5兆円超え」と報道される数字は2025年でも8.6兆円規模で、観光経済の半分超の主役は依然として日本人国内旅行。ただし都市部(東京・大阪・京都)では構造が完全に逆転していて、インバウンド客の消費が観光経済の中心になっている。

これは「インバウンド時代」と「日本人観光客の時代」が、地理的に分割されている状態と読める。3大都市はインバウンド依存型、地方44県は国内市場依存型。同じ「観光業」と一括りにしても、県によって商売の相手が全く違う。

観光経済の地図は「都市3県+地方44県」で塗り分けられる

47都道府県の観光消費構造をインバウンド比率で見ると、都市集中の現実がくっきり浮かび上がる。

  • インバウンド逆転県(3県):東京226.2% / 大阪174.2% / 京都106.4%
  • インバウンド比率高め(4県):福岡83.4% / 愛知50.2% / 沖縄37.6% / 北海道33.6%
  • 国内日本人主導(40県):インバウンド比率30%未満。観光経済の8割以上が日本人客

「インバウンドが観光業を支えている」という言説は、東京・大阪・京都の都市3県では正しいが、残り44県では半分以下の事実しか説明していない。日本の観光業の地図は、都市部のインバウンド依存と地方の国内日本人依存で塗り分けられている。

全47都道府県 インバウンド比率(インバウンド消費/国内日本人消費)ランキング

順位 都道府県 インバウンド消費 国内消費 比率 順位 都道府県 インバウンド消費 国内消費 比率
1 東京都 32,867 14,533 226.2% 25 長野県 875 7,063 12.4%
2 大阪府 16,688 9,580 174.2% 26 宮城県 475 4,331 11.0%
3 京都府 6,802 6,391 106.4% 27 静岡県 696 7,948 8.8%
4 福岡県 4,728 5,667 83.4% 28 鹿児島県 184 2,199 8.4%
5 愛知県 2,710 5,394 50.2% 29 新潟県 231 2,921 7.9%
6 沖縄県 2,892 7,688 37.6% 30 山形県 148 1,875 7.9%
7 北海道 4,512 13,440 33.6% 31 岩手県 106 1,567 6.8%
8 奈良県 367 1,296 28.3% 32 鳥取県 60 914 6.6%
9 広島県 832 3,155 26.4% 33 長崎県 185 2,862 6.5%
10 山梨県 797 3,318 24.0% 34 茨城県 157 2,572 6.1%
11 神奈川県 2,069 8,732 23.7% 35 愛媛県 72 1,188 6.0%
12 千葉県 2,763 11,832 23.4% 36 滋賀県 88 1,526 5.8%
13 香川県 351 1,540 22.8% 37 宮崎県 76 1,357 5.6%
14 岐阜県 549 2,988 18.4% 38 徳島県 34 673 5.0%
15 石川県 446 2,557 17.5% 39 山口県 93 2,001 4.6%
16 大分県 443 2,804 15.8% 40 秋田県 45 1,222 3.7%
17 兵庫県 845 5,817 14.5% 41 栃木県 170 4,875 3.5%
18 埼玉県 337 2,324 14.5% 42 三重県 143 4,337 3.3%
19 富山県 147 1,071 13.7% 43 高知県 31 1,002 3.1%
20 青森県 194 1,420 13.7% 44 群馬県 111 3,975 2.8%
21 佐賀県 121 890 13.6% 45 福島県 95 4,145 2.3%
22 熊本県 343 2,583 13.3% 46 福井県 37 2,480 1.5%
23 和歌山県 253 1,992 12.7% 47 島根県 23 1,699 1.3%
24 岡山県 227 1,820 12.5%

注:消費額の単位は億円。インバウンド消費は2025年年間値(観光庁「インバウンド消費動向調査」)、国内消費は2024年年間値(観光庁「旅行・観光消費動向調査」)。年度が1年異なる点に注意。


もっと詳しく

データ出典:

📖その他カテゴリの記事一覧tokyo の記事一覧osaka の記事一覧kyoto の記事一覧

関連ストーリー

光回線利用率は1位東京70.0%、最下位の山口39.0%。中国地方3県が下位独占で1.79倍差。
📖 その他2024年

光回線利用率は1位東京70.0%、最下位の山口39.0%。中国地方3県が下位独占で1.79倍差。

総務省「通信利用動向調査」(2024年)の都道府県別光回線(FTTH)利用率は、 1位 東京70.0%、最下位 山口39.0%で1.79倍差。中国地方3県(山口・鳥取・島根)が下位独占。 全国平均は57.1%、ICT 7指標の中で最も地域差が大きい。

5月12日
コンビニ三国志:セブンが1位は47県中26県だけ。ローソン11県・ファミマ11県(愛媛は両社同率)。
📖 その他2026年4月時点

コンビニ三国志:セブンが1位は47県中26県だけ。ローソン11県・ファミマ11県(愛媛は両社同率)。

セブン-イレブン・ローソン・ファミリーマートの公式店舗検索(2026年4月時点)から、 3社中1位の県をカウント。セブン26県、ローソン11県、ファミマ11県(うち愛媛はローソン207=ファミマ207で同率1位、両者に重複カウント)。 ファミマ最多の愛知は1,593店でセブンを534店上回る。

5月10日
国宝1,150件のうち64.6%が3県に集中。1位は東京の293件、京都242件・奈良208件が続く。
📖 その他2026年4月1日時点

国宝1,150件のうち64.6%が3県に集中。1位は東京の293件、京都242件・奈良208件が続く。

文化庁の都道府県別指定件数(2026年4月1日時点)で、国宝の総件数は全国1,150件。 1位東京293件、2位京都242件、3位奈良208件で、3県合計743件(全国の64.6%)。 残り44県で407件、徳島・宮崎は国宝ゼロ。

5月9日
1年のうち雪が降る日は、北海道で131日、沖縄で0日。同じ日本で131日差。
📖 その他2018年

1年のうち雪が降る日は、北海道で131日、沖縄で0日。同じ日本で131日差。

2018年、雪が観測された日数は北海道131日、青森117日、岩手106日。一方で沖縄は0日、宮崎・静岡は2日。 北海道と沖縄で131日差。気象庁「気象観測統計」、代表観測地点ベースで集計。

5月11日