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2023-2025年平均(3年平均)

コーヒー支出額が最も少ないのは、茶どころの静岡市だった。

公開日: 2026-04-28
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コーヒー支出額が最も少ないのは、茶どころの静岡市だった。

コーヒー支出額が最も少ないのは、茶どころの静岡市だった。

コーヒーの街といえば、どこを思い浮かべるだろうか。おしゃれなカフェが立ち並ぶ京都か、喫茶文化で知られる名古屋か、あるいは輸入文化の窓口だった横浜か。

ところが、家計調査のデータはそのどれでもない答えを示している。

都道府県庁所在市及び政令指定都市のコーヒー支出額を直近3年(2023〜2025年)の平均で並べると、1位は大津市(10,396円)。2位が京都市(10,149円)、3位が水戸市(9,749円)、4位が東京都区部(9,679円)、5位が神戸市(9,641円)と続く。

最下位は静岡市の6,414円、50位が宮崎市の6,595円、49位が浜松市の6,623円、48位が鹿児島市の6,752円。1位の大津市と最下位の静岡市の差は1.6倍。茶どころとして知られる静岡市が最下位という事実は、地域ごとの飲み物文化の違いを感じさせる。

全国平均は8,389円。これを365日で割ると1日あたり23円。コンビニコーヒー1杯分にも届かない。この数字が示しているのは、家計調査の「コーヒー」が、外で飲む1杯ではなく、主に家庭で買う豆や粉、インスタントの支出額だということだ。

ランキングに広がる、通勤圏の地図

コーヒー支出額ランキング 2023-2025年 3年平均

上位5都市を並べると、一つの地理的なパターンが見えてくる。

順位 観測都市 3年平均支出額
1位 大津市 10,396円
2位 京都市 10,149円
3位 水戸市 9,749円
4位 東京都区部 9,679円
5位 神戸市 9,641円

大津市は京都や大阪への移動圏にあり、水戸市も首都圏とのつながりが強い。東京都区部や神戸市も含めると、上位には都市的な生活圏に属する地域が並んでいるように見える。

通勤や仕事のリズム、家庭でコーヒーを飲む習慣、カフェ文化との距離感。そうしたものが重なって、このランキングが形づくられているのかもしれない。

一方、茶どころに目を向けると、静岡市が52位、鹿児島市が49位、宮崎市が51位。お茶の生産や日常的なお茶文化が強い地域では、家庭で買うコーヒーの比重が相対的に低く出ている可能性がある。

日本のコーヒー史が見せる3つの転換点

日本のコーヒー消費は、大まかに3つの時代に分けて語ることができる。

第一段階は缶コーヒーの時代だ。1969年にUCCが缶コーヒーを発売し、1970〜80年代に自動販売機の普及とともに広まった。休憩時間に手軽に飲めるコーヒーが、日常の中に入ってきた。

第二段階は1990年代から2000年代にかけてのカフェチェーンの時代だ。スターバックスの上陸以降、コーヒーは「おしゃれな飲み物」というイメージも帯び、都市部を中心に広がった。

第三段階は2010年代以降のコンビニコーヒーの時代だ。100円前後で本格的なコーヒーが買えるようになり、地方にも平等にコーヒーを飲む機会が広がった。

それでも、家庭で買うコーヒーの金額にはまだ差が残っている。ここに、地域差の面白さがある。

なぜ大津市が1位なのか

コーヒー支出額の19年変化率

数字からは3つの仮説が読み取れる。

理由1 — 通勤や仕事の習慣が、家庭のコーヒー購入を押し上げている可能性がある。
都市圏への通勤者が多い地域では、朝や日中にコーヒーを飲む習慣が生活の中に組み込まれやすい。そうした習慣が、家庭用のコーヒー豆やドリップバッグ、インスタントの購入にもつながっているのかもしれない。

理由2 — 共働き世帯や忙しい生活と、コーヒーの相性がよい。
短時間で飲めて、準備も簡単。コーヒーは忙しい朝に適した飲み物でもある。世帯内で飲む人が複数いれば、支出額は自然に積み上がる。

理由3 — 京都に近い文化圏であることも影響しているかもしれない。
京都市が2位に入っていることを考えると、この地域では家庭でもコーヒーを飲む習慣が比較的強い可能性がある。大津市と京都市が並んで上位にいることは、その近接性を感じさせる。

均質化の波の中で、なぜ格差は残るのか

コーヒー支出額の推移 2007-2025年

コンビニコーヒーの登場以来、どこに住んでいても手軽にコーヒーが飲める時代になった。にもかかわらず、家庭でのコーヒー支出額には依然として大きな格差がある。

この格差を理解する鍵は、「外で飲む」ことと「家で買う」ことが別の行動だという点にある。コンビニコーヒーの普及は確かに地域差を縮めたが、それはあくまで外で手軽に飲む機会の均質化だ。

一方で家庭でのコーヒー購入は、日常習慣としてどれだけ根づいているかに左右される。働き方、家庭の朝のリズム、地域の飲み物文化。そうした違いが、家計調査の数字に残る。

静岡市が最下位にいることは、お茶文化の強い地域では、家庭でのコーヒー購入が相対的に低くなる可能性を示している。大津市が1位で静岡市が最下位だという事実は、コーヒー支出額が「都会らしさ」だけでは決まらず、暮らし方や既存の飲み物文化とも深く結びついていることを教えてくれる。

全52観測都市ランキング

家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。

順位 名称 2023〜2025年平均 順位 名称 2023〜2025年平均
1 大津市 10,396円 27 川崎市 8,372円
2 京都市 10,149円 28 津市 8,350円
3 水戸市 9,749円 29 相模原市 8,330円
4 東京都区部 9,679円 30 堺市 8,314円
5 神戸市 9,641円 31 青森市 8,297円
6 広島市 9,549円 32 長崎市 8,256円
7 盛岡市 9,460円 33 和歌山市 8,214円
8 松江市 9,294円 34 福岡市 8,167円
9 長野市 9,232円 35 前橋市 8,137円
10 札幌市 9,227円 36 高松市 8,081円
11 秋田市 9,215円 37 北九州市 8,038円
12 さいたま市 9,147円 38 新潟市 8,006円
13 横浜市 9,110円 39 岐阜市 7,954円
14 金沢市 9,096円 40 大阪市 7,869円
15 奈良市 9,044円 41 那覇市 7,365円
16 千葉市 8,916円 42 福井市 7,285円
17 山形市 8,820円 43 松山市 7,273円
18 鳥取市 8,773円 44 熊本市 7,203円
19 岡山市 8,735円 45 佐賀市 7,192円
20 徳島市 8,711円 46 大分市 7,125円
21 仙台市 8,591円 47 甲府市 7,040円
22 富山市 8,589円 48 高知市 6,808円
23 福島市 8,585円 49 鹿児島市 6,752円
24 山口市 8,468円 50 浜松市 6,623円
25 宇都宮市 8,466円 51 宮崎市 6,595円
26 名古屋市 8,462円 52 静岡市 6,414円

大津10,396円、静岡6,414円、差は1.6倍

大津市10,396円、静岡市6,414円、全国平均8,389円。1位と最下位で1.6倍の差が、同じ家計調査の「コーヒー」という項目にある。茶どころが最下位、京都に近い滋賀が首位、という組み合わせは、家庭の飲み物が地域の文化とどれだけ結びついているかを示している。


もっと詳しく

データ出典: 総務省統計局「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)