外食すしの支出額1位は金沢市だった。東京都区部は10位。

外食すしの支出額1位は金沢市だった。東京都区部は10位。
外食すしと聞いて、どの地域を思い浮かべるだろうか。東京の高級寿司、築地の鮮魚、あるいは大都市のにぎわいを連想する人は多いかもしれない。
ところが、総務省「家計調査」の数字は少し違う景色を見せている。
直近3年(2023〜2025年)の平均で、都道府県庁所在市及び政令指定都市の外食すし支出額を並べると、1位は金沢市で年間22,406円。全国平均16,577円を大きく上回る。東京都区部は10位で、18,603円だった。
東京が上位ではあるものの首位ではなく、金沢市が長くトップを維持している。この差はどこから生まれるのか。
上位には日本海側と中部の都市が並ぶ

3年平均の上位を並べると、こうなる。
| 順位 | 観測都市 | 3年平均支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 金沢市 | 22,406円 |
| 2位 | 富山市 | 21,750円 |
| 3位 | 名古屋市 | 21,079円 |
| 4位 | 山形市 | 21,005円 |
| 5位 | 静岡市 | 20,969円 |
上位5都市のうち、北陸・日本海側の都市が目立ち、そこに名古屋市や静岡市が加わる構図になっている。一方、最下位は那覇市の8,878円。1位の金沢市との差は13,528円で、かなり大きい。
東京都区部が10位という事実も興味深い。外食の選択肢が極端に多い大都市では、食費全体の中で「すし」に向かう比率が分散しやすい。東京は外食総額そのものは大きいが、イタリアン、焼肉、ラーメン、フレンチなどの選択肢も非常に多い。そのため、すし1項目への集中度は相対的に下がっている可能性がある。
19年間の変化を見ると、後発地域の伸びが大きい

19年間(2007〜2025年)で変化率が大きかったのは徳島市の+104%。那覇市+60%、鳥取市+57%、高知市+55%、佐賀市+54%と続く。
もともとの支出額が低かった四国や九州、沖縄の都市で、外食すしが大きく伸びてきたことがわかる。全国チェーン回転寿司の普及や、外食の選択肢の均質化が背景にあると考えられる。
逆に減少した都市もある。神戸市は-34%、甲府市は-23%、福岡市は-13%、金沢市でも-6%だった。上位常連の都市の一部では、長期的にはやや調整が入っている。
2015年と2020年に何が起きたのか

2007年から2025年の推移グラフを見ると、全国平均は2020年に落ち込み、その後2025年に過去最高を更新している。
2020年、コロナ禍の外出自粛で全国平均の外食すし支出額は大きく落ちた。2019年の14,886円から2020年は12,751円へ、2,000円以上の下落だ。
その後、2021年以降は回復に向かう。2025年の全国平均は17,975円で、過去最高を更新した。2020年の谷から2025年のピークまで、増加率は約41%になる。物価上昇の影響はあるにせよ、外食需要そのものが戻ってきたことも大きい。
金沢市の推移も印象的だ。2014年は17,885円だったが、2015年に23,248円へと急伸している。この年にあったのが北陸新幹線の開業だ。東京と金沢が近くなり、観光客が大きく増えた。家計調査は地元世帯の支出を測る統計だが、観光地化によって店の選択肢や価格帯が変わり、地元住民の支出行動にも影響した可能性がある。
富山市でも2015年以降の伸びが見られ、北陸新幹線の効果と無関係ではなさそうだ。
なぜ金沢市が長くトップなのか
理由1 — 地元発の回転寿司やすし店文化が厚い。
石川県や北陸では、すしを外食の主役として選ぶ文化が根づいているように見える。高級寿司だけでなく、地元の回転寿司や中価格帯の店も厚く、すし外食の裾野が広い。
理由2 — 地魚の豊富さが、外食すしの魅力を高めている。
石川や富山では、日本海の魚種の豊かさがすしの魅力を支えている。地元で食べる鮮魚の満足度が高く、それがすし外食への支出を押し上げている可能性がある。
理由3 — 観光地としての発展が、地元の選択肢も豊かにした。
観光客が増える都市では、飲食店の質や幅も広がりやすい。金沢市では、観光需要が結果的に地元住民の外食すし環境も押し上げてきたと考えられる。
すしが見せる、地域消費の構造
外食すしは、日本全国でかなり均一に手に入る外食カテゴリーだ。回転寿司の普及で価格帯も平準化が進んでいる。それでも支出額には大きな差がある。
金沢市が高く、那覇市が低い。その差は、気候や所得だけでは説明しきれない。地域の食文化、地元産食材の充実、観光との相乗効果、そして外食習慣の積み重ね。そうしたものが重なって、順位の構造を形づくっている。
全52観測都市ランキング
家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。
| 順位 | 名称 | 2023〜2025年平均 | 順位 | 名称 | 2023〜2025年平均 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 金沢市 | 22,406円 | 27 | 秋田市 | 16,134円 | |
| 2 | 富山市 | 21,750円 | 28 | 鳥取市 | 16,088円 | |
| 3 | 名古屋市 | 21,079円 | 29 | 水戸市 | 16,013円 | |
| 4 | 山形市 | 21,005円 | 30 | 佐賀市 | 15,567円 | |
| 5 | 静岡市 | 20,969円 | 31 | 北九州市 | 15,512円 | |
| 6 | 岐阜市 | 19,943円 | 32 | 広島市 | 15,226円 | |
| 7 | 堺市 | 19,433円 | 33 | 津市 | 15,156円 | |
| 8 | 相模原市 | 18,728円 | 34 | 松江市 | 15,094円 | |
| 9 | 高知市 | 18,691円 | 35 | 新潟市 | 15,079円 | |
| 10 | 宇都宮市 | 18,682円 | 36 | 青森市 | 14,942円 | |
| 11 | 東京都区部 | 18,603円 | 37 | 盛岡市 | 14,794円 | |
| 12 | 千葉市 | 18,569円 | 38 | 和歌山市 | 14,729円 | |
| 13 | さいたま市 | 18,227円 | 39 | 大分市 | 14,676円 | |
| 14 | 川崎市 | 18,007円 | 40 | 熊本市 | 14,669円 | |
| 15 | 福島市 | 17,887円 | 41 | 岡山市 | 14,554円 | |
| 16 | 長野市 | 17,735円 | 42 | 大津市 | 14,447円 | |
| 17 | 福井市 | 17,729円 | 43 | 山口市 | 14,185円 | |
| 18 | 京都市 | 17,662円 | 44 | 甲府市 | 14,168円 | |
| 19 | 仙台市 | 17,554円 | 45 | 前橋市 | 13,774円 | |
| 20 | 札幌市 | 17,303円 | 46 | 鹿児島市 | 13,372円 | |
| 21 | 横浜市 | 17,152円 | 47 | 宮崎市 | 12,607円 | |
| 22 | 奈良市 | 17,084円 | 48 | 福岡市 | 12,156円 | |
| 23 | 大阪市 | 16,839円 | 49 | 長崎市 | 11,987円 | |
| 24 | 浜松市 | 16,814円 | 50 | 神戸市 | 11,642円 | |
| 25 | 徳島市 | 16,682円 | 51 | 松山市 | 11,637円 | |
| 26 | 高松市 | 16,373円 | 52 | 那覇市 | 8,878円 |
金沢22,406円、那覇8,878円、東京10位
金沢市22,406円、那覇市8,878円、全国平均16,577円。1位と最下位で2.5倍の差。そして外食すしで東京は10位止まり。同じ外食すしという項目で、これだけの地域差が日本の食文化の厚みとして刻まれている。
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データ出典: 総務省統計局「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)