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2023-2025年平均(3年平均)

ワイン支出額1位は東京都区部7,460円。1〜4位を首都圏が独占、産地の甲府は18位。

公開日: 2026-05-08
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ワイン支出額1位は東京都区部7,460円。1〜4位を首都圏が独占、産地の甲府は18位。

ワイン支出額1位は東京都区部7,460円。1〜4位を首都圏が独占、産地の甲府は18位。

ワインを最も多く買う都道府県はどこか。産地のイメージから山梨県(甲府)や長野県を思い浮かべる人もいるかもしれない。

家計調査で2023〜2025年平均の支出額を並べると、1位は東京都区部の7,460円。2位以下はさいたま市5,833円、千葉市5,702円、横浜市5,436円、熊本市5,254円と続く。1〜4位を首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)の都市が独占し、5位だけ南九州の熊本市が食い込んでいる。

全国平均は3,339円。1位東京都区部はその2.23倍、首都圏4都市はすべて全国平均の1.6倍以上にあたる。ワイン産地として知られる甲府市は18位の3,979円で、全国平均を少し上回る程度だ。

東京7,460円、首都圏4都市が独占

ワイン支出額ランキング 2023-2025年 3年平均

上位10都市を並べると、首都圏と地方都市の並びが見える。

順位 観測都市 3年平均支出額
1位 東京都区部 7,460円
2位 さいたま市 5,833円
3位 千葉市 5,702円
4位 横浜市 5,436円
5位 熊本市 5,254円
6位 札幌市 4,526円
7位 新潟市 4,414円
8位 福岡市 4,324円
9位 秋田市 4,310円
10位 青森市 4,154円

1位東京都区部は2位さいたま市を約1.28倍引き離し、さいたま・千葉・横浜の3都市が5,400〜5,800円台にまとまる。首都圏4都市で「ワインの主戦場」を形成している構図だ。

5位熊本市は南九州の中で唯一5,000円台に食い込む。6位札幌以下は4,000円台で、上位4都市と下位との間には明確な段差がある。

なぜ首都圏が上位なのか

首都圏が上位に並ぶ理由は、3つに分解して考えられる。いずれも家計調査の数字から直接因果は示せないが、有力な仮説として語られてきた。

1つめはボトル単価の差。ワインは納豆や食パンと違い、本数より「どの価格帯のボトルを選ぶか」で支出額が動きやすい品目だ。500円台の紙パックワインから、3,000円〜数万円の輸入ワインまで価格帯が広く、高価格帯を日常的に買う層が一定数いるかどうかで支出額の平均値が大きく変わる。首都圏では所得水準と相まって、中高価格帯のボトルを選ぶ層が厚いと考えるのが自然だろう。

2つめは外食でワインに触れる機会の多さ。首都圏ではビストロ・イタリアン・フレンチなどワインを置く店舗の密度が高く、外食で飲み慣れた銘柄を家庭でも買う、という購買行動につながりやすい。家飲み市場は外食市場と独立ではなく、外食で広がった嗜好が家計の支出にも染み出している可能性がある。

3つめは流通網の厚み。輸入商社・専門店・大型スーパー・百貨店・コンビニまで、首都圏ではワインの選択肢が他地域より明らかに広い。「飲みたいタイプを近所で選べる」状況が、購買頻度を押し上げていると見ても不自然ではない。

東京都区部の7,460円は、全国平均の約2.2倍。本数の差というより、単価×頻度×流通の3つが同方向に効いた合算結果として、この水準に達していると読むのが妥当だ。

産地の甲府市は18位、3,979円

山梨県(甲府市)は日本のワイン産地として知られる。勝沼ワインに代表されるように、県内には国内最多の80以上のワイナリーが集積し、国産ワインの主要生産地となっている。

しかし家計調査で見ると、甲府市は18位の3,979円。全国平均3,339円の1.19倍で平均は超えているが、首都圏4都市とは大きな差がある。

ここで効いてくるのが家計調査の集計構造だ。家計調査は調査対象世帯の住所地ベースで集計されるため、ワインがどこで売れたかではなく「どこに住む世帯が買ったか」のランキングになる。甲府で生産されたワインは大半が県外・海外に出荷され、その分は出荷先県の家庭支出として首都圏や輸出市場に分散する。

加えて、産地県の家庭支出額が見かけ上抑えられる要因として、以下が考えられる。

  • 観光客が甲府を訪問してワインを買って帰った分 → 観光客の居住地県の家計調査に集計され、甲府の支出額には乗らない
  • レストラン・居酒屋でワイナリー産のワインが飲まれた分 → 「ワイン」品目ではなく「一般外食」分類に入り、家庭支出としては現れない
  • 産地に近い住民は地元産ワインを比較的手頃な価格で入手できる可能性があり、ボトル単価が低めに抑えられて家庭支出額の見かけが小さくなる方向にも働き得る

「産地で生産される量が多いこと」と「産地住民の家庭支出額が高いこと」は、家計調査の集計構造上、必ずしも一致しない。

同じパターンは他の産地系記事でも観察できる。ヨーグルトでは札幌市が46位、緑茶では静岡市が1位でも全国は17年で約-37%。「産地ブランド」と「家計調査の支出額」は別物として読むべき指標だ。

最下位は松山市の1,293円

下位を見ると、西日本・四国の都市が並ぶ。

順位 観測都市 3年平均支出額
50位 佐賀市 1,658円
51位 和歌山市 1,589円
52位 松山市 1,293円

最下位の松山市1,293円は、1位東京都区部の約17%。差は5.77倍にのぼる。四国・山陰・九州西部の都市が下位に沈む。

ここで対照的なのが5位熊本市5,254円だ。首都圏でもなく、ワイン産地でもないが、5位に食い込んでいる。さいたま市との差はわずか579円で、ほぼ4位横浜と並ぶ水準。「ワイン支出は首都圏だけの現象」とは言い切れない例外として読める。同じ九州でも44位鹿児島市2,062円とは2.5倍以上の差があり、地域全体で一様な傾向ではない。

「都市化+所得+外食文化」という複数要因が重なれば首都圏の外でも上位に入り得るし、逆に近畿圏でも大阪32位2,882円・京都13位4,124円・神戸14位4,041円とばらつく。ワイン文化の浸透度合いは、地方ブロック単位ではなく都市単位で読むのが妥当だ。

全国では17年で+38%、全体は拡大中

ワイン支出額の推移 2007-2025年

ワイン支出額の全国平均は、2007〜2009年の2,421円から2023〜2025年の3,339円へと、約38%増えている。

日本酒・焼酎が長期的に減少している一方で、ワインは拡大トレンドにある。

転換点として読みやすいのは2020〜2021年のコロナ期。外食の機会が大きく減り、その分の飲酒需要が「家飲み」へシフトしたとされる時期で、ワインも家庭購入額が押し上げられた可能性がある。コロナ収束後の2023〜2025年も水準は戻らず、家飲み習慣の一部が定着したと見るのが自然だろう。

その他の背景としては、輸入ワインの価格帯が広がったこと、国産ワインの品質向上、食事のスタイルの変化などが挙げられる。家計調査は「支出額」を測る統計なので、単価上昇と購入頻度上昇のどちらが効いているかは切り分けられないが、ワインの場合は前述のとおり単価の動きが効きやすい品目で、輸入ワインの価格帯拡大が支出額の伸びに寄与している可能性が高い。

全52観測都市ランキング

家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。

順位 名称 2023〜2025年平均 順位 名称 2023〜2025年平均
1 東京都区部 7,460円 27 水戸市 3,233円
2 さいたま市 5,833円 28 福島市 3,172円
3 千葉市 5,702円 29 岐阜市 3,152円
4 横浜市 5,436円 30 北九州市 3,095円
5 熊本市 5,254円 31 宇都宮市 2,995円
6 相模原市 4,603円 32 大阪市 2,882円
7 札幌市 4,526円 33 宮崎市 2,671円
8 新潟市 4,414円 34 那覇市 2,505円
9 福岡市 4,324円 35 浜松市 2,502円
10 秋田市 4,310円 36 松江市 2,464円
11 青森市 4,154円 37 鳥取市 2,383円
12 広島市 4,132円 38 高知市 2,374円
13 京都市 4,124円 39 前橋市 2,362円
14 神戸市 4,041円 40 高松市 2,297円
15 盛岡市 4,009円 41 福井市 2,176円
16 名古屋市 3,993円 42 堺市 2,164円
17 山形市 3,980円 43 山口市 2,099円
18 甲府市 3,979円 44 鹿児島市 2,062円
19 静岡市 3,858円 45 大分市 2,050円
20 仙台市 3,843円 46 岡山市 2,049円
21 富山市 3,764円 47 徳島市 1,917円
22 長野市 3,744円 48 長崎市 1,891円
23 大津市 3,597円 49 津市 1,796円
24 金沢市 3,561円 50 佐賀市 1,658円
25 奈良市 3,427円 51 和歌山市 1,589円
26 川崎市 3,241円 52 松山市 1,293円

東京7,460円、松山1,293円、産地の甲府は18位

東京都区部7,460円、さいたま5,833、千葉5,702、横浜5,436、全国平均3,339円、最下位松山1,293円。1〜4位を首都圏が独占、5位は熊本、産地の甲府市は18位。1位と最下位で5.77倍。ワインが最も売れる都市は、ブドウを育てる県ではなく、高価格帯のボトルを日常的に選ぶ層が厚い首都圏の4都市だった。全国で17年で+38%伸びた背景には、コロナ期に定着した家飲み習慣と輸入ワインの価格帯拡大があり、ワインは「本数」より「単価」で支出額が動く品目だという構造が、上位・下位の差を5.77倍にまで広げている。


もっと詳しく

データ出典: 総務省「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)

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