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1920年 → 2020年

全国人口は100年で2.26倍に増えた。なのに、たった1県だけ「人口が減った」県がある。

公開日: 2026-05-09
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全国人口は100年で2.26倍に増えた。なのに、たった1県だけ「人口が減った」県がある。

全国人口は100年で2.26倍に増えた。なのに、たった1県だけ「人口が減った」県がある。

日本初の国勢調査が行われた1920年から、ちょうど100年。

その間、全国の人口は5,596万人から1億2,623万人へと2.26倍に膨らんだ。47都道府県のほとんどが人口を増やすなかで、ただ1県だけが100年経って絶対値で「減った」県がある。島根県だ。

1920年の島根県の人口は714,712人。2020年は671,602人。100年で4万人以上を失って、倍率は0.94倍。47県中ただ1県だけが、明治・大正時代より人口が少ない県となった。一方、同じ100年で神奈川県は6.98倍(132万人→924万人)、埼玉県5.57倍、千葉県4.71倍と、首都圏では人口が爆発的に膨らんだ。

47県100年人口推移ランキング

数字の前に:データの定義

データは総務省統計局「国勢調査」の都道府県別人口。1920年は日本初の国勢調査(大正9年10月1日時点・第1回)、2020年は最新の確定値(令和2年10月1日時点・第21回)。両方とも住民基本台帳ではなく、国勢調査の実査ベースの統計。

「倍率」は2020年人口÷1920年人口で計算。47県すべての人口を合算した全国合計は1920年55,963,053人、2020年126,226,568人で2.26倍。これに対し、各県の倍率を比較すると、地域間の格差が極めて大きく出る。

なお1920年時点の都道府県境界は現在とほぼ同じ(北海道は当時すでに「道」として統計に含まれている)。沖縄県は1920年も含めて集計。

島根県は100年で人口が減った唯一の県

47県を1920→2020年の人口倍率で並べると、最下位は島根県の0.94倍。1920年の714,712人から2020年の671,602人へ、絶対値で43,110人を失った。倍率1倍を下回る、47県でただ1県だけの存在。

順位 都道府県 1920年 2020年 倍率
47位 島根県 714,712 671,602 0.94倍
46位 高知県 670,895 692,065 1.03倍
45位 秋田県 898,537 960,113 1.07倍
44位 徳島県 670,212 719,704 1.07倍
43位 山形県 968,925 1,068,696 1.10倍

下位5県は島根・高知・秋田・徳島・山形。山陰・四国・東北の山間部・人口希薄地帯が並ぶ。1920年時点ですでに人口の少ない県が、100年経っても増えなかった構造になっている。

島根県の100年内訳をたどると、1920年714,712人 → 1960年888,886人(戦後ピーク)→ 2020年671,602人。1960年代の高度成長期に若年層が県外へ流出して以降、いったん落ちた人口が戻らず減少基調が続いた。一方、戦後ベビーブーム期に大都市圏では人口が膨張し続け、結果的に「100年で減った県は島根だけ」という構図になった。

神奈川6.98倍、埼玉5.57倍、千葉4.71倍 — 首都圏は爆発的増加

伸び率上位5県を並べると、首都圏3県が並ぶ。

順位 都道府県 1920年 2020年 倍率
1位 神奈川県 1,323,390 9,240,411 6.98倍
2位 埼玉県 1,319,533 7,346,836 5.57倍
3位 千葉県 1,336,155 6,287,034 4.71倍
4位 東京都 3,699,428 14,064,696 3.80倍
5位 愛知県 2,089,762 7,546,192 3.61倍

神奈川県は1920年時点で全国15位だったが、2020年には2位に上昇。横浜・川崎の工業発展、京浜工業地帯への人口集積、東京通勤圏の拡大が積み重なり、100年で人口が約7倍に膨らんだ。埼玉・千葉も首都圏ベッドタウン化で同様の伸びを示す。

東京都自体は1920年に既に人口1位(370万人)だったため、倍率は3.80倍と上位3県より低いが、絶対増加数は1,036万人で全国最大。100年スパンで見ると「東京一極集中」というより「首都圏(1都3県)への集中」が進んだ構造が見える。

5位の愛知県は名古屋圏の工業発展、政令指定都市化の歴史を反映する。

1920年の人口大県、100年でこんなに転落した

1920年の人口TOP10と、その100年後の順位を並べると、産業構造変化が見える。

1920年順位 都道府県 1920年人口 2020年順位 順位変動
1位 東京都 3,699,428 1位 ±0
2位 大阪府 2,587,847 3位 -1
3位 北海道 2,359,183 8位 -5
4位 兵庫県 2,301,799 7位 -3
5位 福岡県 2,188,249 9位 -4
6位 愛知県 2,089,762 4位 +2
7位 新潟県 1,776,474 15位 -8
8位 長野県 1,562,722 16位 -8
9位 静岡県 1,550,387 10位 -1
10位 広島県 1,541,905 12位 -2

新潟(7→15位)・長野(8→16位)はTOP10から脱落。両県は1920年時点では米作・養蚕・在来工業で人口を多く抱えたが、戦後の都市化で若年層が太平洋ベルトへ流出した。鹿児島県は1920年に11位(1,415,582人)だったが、2020年は24位(1,589,206人)まで下げた(順位変動-13、人口は1.12倍にしか伸びず)。

100年で順位を最も上げたのは沖縄県(45→25位、+20)。1920年時点で全国最少クラスだったが、戦後復帰以降の出生率の高さと産業発展で大幅に上昇した。次いで奈良県(46→29位、+17)、滋賀県(42→26位、+16)と、関西の住宅県が順位を上げる構造。

伸び率TOP5 vs 唯一の減少県

100年スパンの「人口の地理」が変わった

47県の100年人口倍率を見ると、日本の人口地理が一変したことが分かる。

1920年時点では、1位東京・2位大阪・3位北海道・4位兵庫・5位福岡と、伝統的な近畿・北海道・九州の人口大県が上位を占めた。新潟・長野・広島・福島・鹿児島など、現在では中位以下の県が当時のTOP15に入っていた。

それから100年。首都圏3県(神奈川・埼玉・千葉)が爆発的に増え、太平洋ベルト(東京・愛知・大阪・福岡)が安定して大きい一方、山陰・四国・東北の山間部県は人口を増やせなかった。島根県だけが絶対値で減った理由は、戦後の若年層流出が継続的に続き、出生数の回復がなかったため。

国の総人口は2010年の1億2,806万人をピークに、2020年は1億2,623万人へと減少局面に入った。100年スパンで見ると、これからの「47県の人口の地理」は、また大きく書き変わる可能性が高い。2025年国勢調査(速報は2026年5月予定)の結果が、新たな100年の出発点になる。

全47都道府県 1920→2020年人口倍率ランキング

総務省統計局「国勢調査」1920年(大正9年・第1回)と2020年(令和2年・第21回)の都道府県別人口を倍率で並べる。全国合計は5,596万→1億2,623万、2.26倍。

順位 都道府県 1920年 2020年 倍率 順位 都道府県 1920年 2020年 倍率
1 神奈川県 1,323,390 9,240,411 6.98倍 25 石川県 747,360 1,133,294 1.52倍
2 埼玉県 1,319,533 7,346,836 5.57倍 26 岩手県 845,540 1,211,206 1.43倍
3 千葉県 1,336,155 6,287,034 4.71倍 27 富山県 724,276 1,035,612 1.43倍
4 東京都 3,699,428 14,064,696 3.80倍 28 熊本県 1,233,233 1,739,211 1.41倍
5 愛知県 2,089,762 7,546,192 3.61倍 29 香川県 677,852 951,049 1.40倍
6 大阪府 2,587,847 8,842,523 3.42倍 30 山梨県 583,453 810,427 1.39倍
7 沖縄県 571,572 1,468,410 2.57倍 31 福島県 1,362,750 1,834,198 1.35倍
8 宮城県 961,768 2,303,487 2.40倍 32 長野県 1,562,722 2,049,683 1.31倍
9 兵庫県 2,301,799 5,469,184 2.38倍 33 大分県 860,282 1,124,597 1.31倍
10 福岡県 2,188,249 5,138,891 2.35倍 34 山口県 1,041,013 1,342,987 1.29倍
11 奈良県 564,607 1,325,437 2.35倍 35 福井県 599,155 767,433 1.28倍
12 静岡県 1,550,387 3,635,220 2.34倍 36 愛媛県 1,046,720 1,335,694 1.28倍
13 北海道 2,359,183 5,228,885 2.22倍 37 新潟県 1,776,474 2,202,358 1.24倍
14 滋賀県 651,050 1,414,248 2.17倍 38 和歌山県 750,411 923,033 1.23倍
15 茨城県 1,350,400 2,868,554 2.12倍 39 鳥取県 454,675 553,847 1.22倍
16 京都府 1,287,147 2,579,921 2.00倍 40 佐賀県 673,895 812,013 1.20倍
17 岐阜県 1,070,407 1,979,781 1.85倍 41 長崎県 1,136,182 1,313,103 1.16倍
18 栃木県 1,046,479 1,934,016 1.85倍 42 鹿児島県 1,415,582 1,589,206 1.12倍
19 群馬県 1,052,610 1,940,333 1.84倍 43 山形県 968,925 1,068,696 1.10倍
20 広島県 1,541,905 2,801,388 1.82倍 44 徳島県 670,212 719,704 1.07倍
21 三重県 1,069,270 1,771,440 1.66倍 45 秋田県 898,537 960,113 1.07倍
22 宮崎県 651,097 1,070,213 1.64倍 46 高知県 670,895 692,065 1.03倍
23 青森県 756,454 1,238,730 1.64倍 47 島根県 714,712 671,602 0.94倍
24 岡山県 1,217,698 1,889,607 1.55倍

注:単位は人。データは総務省統計局「国勢調査」1920年(大正9年・第1回)と2020年(令和2年・第21回)の都道府県別人口(実査値)。倍率は2020年÷1920年。


もっと詳しく

データ出典: 総務省統計局「国勢調査」(1920年・第1回および2020年・第21回の都道府県別人口)

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