全国人口は100年で2.26倍に増えた。なのに、たった1県だけ「人口が減った」県がある。

全国人口は100年で2.26倍に増えた。なのに、たった1県だけ「人口が減った」県がある。
日本初の国勢調査が行われた1920年から、ちょうど100年。
その間、全国の人口は5,596万人から1億2,623万人へと2.26倍に膨らんだ。47都道府県のほとんどが人口を増やすなかで、ただ1県だけが100年経って絶対値で「減った」県がある。島根県だ。
1920年の島根県の人口は714,712人。2020年は671,602人。100年で4万人以上を失って、倍率は0.94倍。47県中ただ1県だけが、明治・大正時代より人口が少ない県となった。一方、同じ100年で神奈川県は6.98倍(132万人→924万人)、埼玉県5.57倍、千葉県4.71倍と、首都圏では人口が爆発的に膨らんだ。

数字の前に:データの定義
データは総務省統計局「国勢調査」の都道府県別人口。1920年は日本初の国勢調査(大正9年10月1日時点・第1回)、2020年は最新の確定値(令和2年10月1日時点・第21回)。両方とも住民基本台帳ではなく、国勢調査の実査ベースの統計。
「倍率」は2020年人口÷1920年人口で計算。47県すべての人口を合算した全国合計は1920年55,963,053人、2020年126,226,568人で2.26倍。これに対し、各県の倍率を比較すると、地域間の格差が極めて大きく出る。
なお1920年時点の都道府県境界は現在とほぼ同じ(北海道は当時すでに「道」として統計に含まれている)。沖縄県は1920年も含めて集計。
島根県は100年で人口が減った唯一の県
47県を1920→2020年の人口倍率で並べると、最下位は島根県の0.94倍。1920年の714,712人から2020年の671,602人へ、絶対値で43,110人を失った。倍率1倍を下回る、47県でただ1県だけの存在。
| 順位 | 都道府県 | 1920年 | 2020年 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 47位 | 島根県 | 714,712 | 671,602 | 0.94倍 |
| 46位 | 高知県 | 670,895 | 692,065 | 1.03倍 |
| 45位 | 秋田県 | 898,537 | 960,113 | 1.07倍 |
| 44位 | 徳島県 | 670,212 | 719,704 | 1.07倍 |
| 43位 | 山形県 | 968,925 | 1,068,696 | 1.10倍 |
下位5県は島根・高知・秋田・徳島・山形。山陰・四国・東北の山間部・人口希薄地帯が並ぶ。1920年時点ですでに人口の少ない県が、100年経っても増えなかった構造になっている。
島根県の100年内訳をたどると、1920年714,712人 → 1960年888,886人(戦後ピーク)→ 2020年671,602人。1960年代の高度成長期に若年層が県外へ流出して以降、いったん落ちた人口が戻らず減少基調が続いた。一方、戦後ベビーブーム期に大都市圏では人口が膨張し続け、結果的に「100年で減った県は島根だけ」という構図になった。
神奈川6.98倍、埼玉5.57倍、千葉4.71倍 — 首都圏は爆発的増加
伸び率上位5県を並べると、首都圏3県が並ぶ。
| 順位 | 都道府県 | 1920年 | 2020年 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 神奈川県 | 1,323,390 | 9,240,411 | 6.98倍 |
| 2位 | 埼玉県 | 1,319,533 | 7,346,836 | 5.57倍 |
| 3位 | 千葉県 | 1,336,155 | 6,287,034 | 4.71倍 |
| 4位 | 東京都 | 3,699,428 | 14,064,696 | 3.80倍 |
| 5位 | 愛知県 | 2,089,762 | 7,546,192 | 3.61倍 |
神奈川県は1920年時点で全国15位だったが、2020年には2位に上昇。横浜・川崎の工業発展、京浜工業地帯への人口集積、東京通勤圏の拡大が積み重なり、100年で人口が約7倍に膨らんだ。埼玉・千葉も首都圏ベッドタウン化で同様の伸びを示す。
東京都自体は1920年に既に人口1位(370万人)だったため、倍率は3.80倍と上位3県より低いが、絶対増加数は1,036万人で全国最大。100年スパンで見ると「東京一極集中」というより「首都圏(1都3県)への集中」が進んだ構造が見える。
5位の愛知県は名古屋圏の工業発展、政令指定都市化の歴史を反映する。
1920年の人口大県、100年でこんなに転落した
1920年の人口TOP10と、その100年後の順位を並べると、産業構造変化が見える。
| 1920年順位 | 都道府県 | 1920年人口 | 2020年順位 | 順位変動 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 3,699,428 | 1位 | ±0 |
| 2位 | 大阪府 | 2,587,847 | 3位 | -1 |
| 3位 | 北海道 | 2,359,183 | 8位 | -5 |
| 4位 | 兵庫県 | 2,301,799 | 7位 | -3 |
| 5位 | 福岡県 | 2,188,249 | 9位 | -4 |
| 6位 | 愛知県 | 2,089,762 | 4位 | +2 |
| 7位 | 新潟県 | 1,776,474 | 15位 | -8 |
| 8位 | 長野県 | 1,562,722 | 16位 | -8 |
| 9位 | 静岡県 | 1,550,387 | 10位 | -1 |
| 10位 | 広島県 | 1,541,905 | 12位 | -2 |
新潟(7→15位)・長野(8→16位)はTOP10から脱落。両県は1920年時点では米作・養蚕・在来工業で人口を多く抱えたが、戦後の都市化で若年層が太平洋ベルトへ流出した。鹿児島県は1920年に11位(1,415,582人)だったが、2020年は24位(1,589,206人)まで下げた(順位変動-13、人口は1.12倍にしか伸びず)。
100年で順位を最も上げたのは沖縄県(45→25位、+20)。1920年時点で全国最少クラスだったが、戦後復帰以降の出生率の高さと産業発展で大幅に上昇した。次いで奈良県(46→29位、+17)、滋賀県(42→26位、+16)と、関西の住宅県が順位を上げる構造。

100年スパンの「人口の地理」が変わった
47県の100年人口倍率を見ると、日本の人口地理が一変したことが分かる。
1920年時点では、1位東京・2位大阪・3位北海道・4位兵庫・5位福岡と、伝統的な近畿・北海道・九州の人口大県が上位を占めた。新潟・長野・広島・福島・鹿児島など、現在では中位以下の県が当時のTOP15に入っていた。
それから100年。首都圏3県(神奈川・埼玉・千葉)が爆発的に増え、太平洋ベルト(東京・愛知・大阪・福岡)が安定して大きい一方、山陰・四国・東北の山間部県は人口を増やせなかった。島根県だけが絶対値で減った理由は、戦後の若年層流出が継続的に続き、出生数の回復がなかったため。
国の総人口は2010年の1億2,806万人をピークに、2020年は1億2,623万人へと減少局面に入った。100年スパンで見ると、これからの「47県の人口の地理」は、また大きく書き変わる可能性が高い。2025年国勢調査(速報は2026年5月予定)の結果が、新たな100年の出発点になる。
全47都道府県 1920→2020年人口倍率ランキング
総務省統計局「国勢調査」1920年(大正9年・第1回)と2020年(令和2年・第21回)の都道府県別人口を倍率で並べる。全国合計は5,596万→1億2,623万、2.26倍。
| 順位 | 都道府県 | 1920年 | 2020年 | 倍率 | 順位 | 都道府県 | 1920年 | 2020年 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 神奈川県 | 1,323,390 | 9,240,411 | 6.98倍 | 25 | 石川県 | 747,360 | 1,133,294 | 1.52倍 | |
| 2 | 埼玉県 | 1,319,533 | 7,346,836 | 5.57倍 | 26 | 岩手県 | 845,540 | 1,211,206 | 1.43倍 | |
| 3 | 千葉県 | 1,336,155 | 6,287,034 | 4.71倍 | 27 | 富山県 | 724,276 | 1,035,612 | 1.43倍 | |
| 4 | 東京都 | 3,699,428 | 14,064,696 | 3.80倍 | 28 | 熊本県 | 1,233,233 | 1,739,211 | 1.41倍 | |
| 5 | 愛知県 | 2,089,762 | 7,546,192 | 3.61倍 | 29 | 香川県 | 677,852 | 951,049 | 1.40倍 | |
| 6 | 大阪府 | 2,587,847 | 8,842,523 | 3.42倍 | 30 | 山梨県 | 583,453 | 810,427 | 1.39倍 | |
| 7 | 沖縄県 | 571,572 | 1,468,410 | 2.57倍 | 31 | 福島県 | 1,362,750 | 1,834,198 | 1.35倍 | |
| 8 | 宮城県 | 961,768 | 2,303,487 | 2.40倍 | 32 | 長野県 | 1,562,722 | 2,049,683 | 1.31倍 | |
| 9 | 兵庫県 | 2,301,799 | 5,469,184 | 2.38倍 | 33 | 大分県 | 860,282 | 1,124,597 | 1.31倍 | |
| 10 | 福岡県 | 2,188,249 | 5,138,891 | 2.35倍 | 34 | 山口県 | 1,041,013 | 1,342,987 | 1.29倍 | |
| 11 | 奈良県 | 564,607 | 1,325,437 | 2.35倍 | 35 | 福井県 | 599,155 | 767,433 | 1.28倍 | |
| 12 | 静岡県 | 1,550,387 | 3,635,220 | 2.34倍 | 36 | 愛媛県 | 1,046,720 | 1,335,694 | 1.28倍 | |
| 13 | 北海道 | 2,359,183 | 5,228,885 | 2.22倍 | 37 | 新潟県 | 1,776,474 | 2,202,358 | 1.24倍 | |
| 14 | 滋賀県 | 651,050 | 1,414,248 | 2.17倍 | 38 | 和歌山県 | 750,411 | 923,033 | 1.23倍 | |
| 15 | 茨城県 | 1,350,400 | 2,868,554 | 2.12倍 | 39 | 鳥取県 | 454,675 | 553,847 | 1.22倍 | |
| 16 | 京都府 | 1,287,147 | 2,579,921 | 2.00倍 | 40 | 佐賀県 | 673,895 | 812,013 | 1.20倍 | |
| 17 | 岐阜県 | 1,070,407 | 1,979,781 | 1.85倍 | 41 | 長崎県 | 1,136,182 | 1,313,103 | 1.16倍 | |
| 18 | 栃木県 | 1,046,479 | 1,934,016 | 1.85倍 | 42 | 鹿児島県 | 1,415,582 | 1,589,206 | 1.12倍 | |
| 19 | 群馬県 | 1,052,610 | 1,940,333 | 1.84倍 | 43 | 山形県 | 968,925 | 1,068,696 | 1.10倍 | |
| 20 | 広島県 | 1,541,905 | 2,801,388 | 1.82倍 | 44 | 徳島県 | 670,212 | 719,704 | 1.07倍 | |
| 21 | 三重県 | 1,069,270 | 1,771,440 | 1.66倍 | 45 | 秋田県 | 898,537 | 960,113 | 1.07倍 | |
| 22 | 宮崎県 | 651,097 | 1,070,213 | 1.64倍 | 46 | 高知県 | 670,895 | 692,065 | 1.03倍 | |
| 23 | 青森県 | 756,454 | 1,238,730 | 1.64倍 | 47 | 島根県 | 714,712 | 671,602 | 0.94倍 | |
| 24 | 岡山県 | 1,217,698 | 1,889,607 | 1.55倍 |
注:単位は人。データは総務省統計局「国勢調査」1920年(大正9年・第1回)と2020年(令和2年・第21回)の都道府県別人口(実査値)。倍率は2020年÷1920年。
もっと詳しく
データ出典: 総務省統計局「国勢調査」(1920年・第1回および2020年・第21回の都道府県別人口)



