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1984年(ピーク) → 2015年

漁獲量はピークから31年で7割減。東京都-95%、福島-92%、山口-90%。

公開日: 2026-05-23
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漁獲量はピークから31年で7割減。東京都-95%、福島-92%、山口-90%。

漁獲量はピークから31年で7割減。東京都-95%、福島-92%、山口-90%。

日本の漁獲量は、ピークだった1984年から30年あまりでどう変わったか。農林水産省「海面漁業生産統計」の長期累年データで1984年と2015年を並べると、全国合計は1,150万tから349万tへ、-69.6%。31年で約7割が消えた計算になる。

最大の減少は東京都で-95.2%(93.5万t→4.5万t)。次いで福島県-92.1%、山口県-90.0%と、3県が9割以上の減少を記録している。福岡県-89.0%、京都府-86.4%もこれに迫る水準だ。

その一方で、富山県は1984年4.7万t→2015年4.4万tと-6.5%にとどまる。「31年で7割減」という全国の数字は、地域でこれほど均等ではない。

減少率上位10県: 東京-95.2%、福島-92.1%

1984→2015年漁獲量変化率 減少率上位10県

減少率上位10県を並べると、首都圏・福島・西日本の港湾県が並ぶ。

順位 都道府県 1984年 2015年 減少率
1 東京都 93.5万t 4.5万t -95.2%
2 福島県 57.8万t 4.5万t -92.1%
3 山口県 29.0万t 2.9万t -90.0%
4 福岡県 32.0万t 3.5万t -89.0%
5 京都府 8.5万t 1.2万t -86.4%
6 青森県 56.6万t 11.4万t -79.8%
7 千葉県 55.0万t 11.2万t -79.7%
8 熊本県 9.9万t 2.0万t -79.4%
9 徳島県 5.0万t 1.1万t -79.1%
10 新潟県 15.9万t 3.4万t -78.7%

東京都の-95.2%は突出した数字だが、これは伊豆諸島・小笠原諸島を含めた東京都全体の海面漁獲量が、80年代の遠洋・沖合漁業の縮小で大きく減ったことを反映している。1980年代までは漁業基地としての地位を持っていた東京湾・伊豆諸島の漁港が、200海里経済水域の確立や燃料費高騰で機能を失った。

福島県の-92.1%は、東日本大震災(2011年)と原発事故による漁業中断・風評被害が直接の要因として大きい。1984年の57.8万tから2015年の4.5万tへ、地震・津波・原発事故・規制という複合要因の結果として現れた数字だ。

なぜ31年でここまで減ったのか

日本の漁獲量が31年で7割減になった背景は、3つに分解して読むのが妥当だろう。いずれも一つの要因では説明しきれず、複合的に効いてきた31年だった。

1つめは200海里経済水域(EEZ)の確立による遠洋漁業の縮小。1977年から各国がEEZを設定し始め、それまで日本の遠洋漁船が出漁していた海域が他国の管理下に入った。1980年代までは遠洋漁業(マグロ・カツオ・スケトウダラなど)が日本漁獲量の大きな柱だったが、EEZ確立後は他国海域での操業が制限され、日本漁船の遠洋漁業は段階的に縮小していった。1984年の漁獲量1,150万tはこの遠洋漁業を含む値で、その後の急減はEEZ前提の漁業構造への移行コストが大きかったことを示す。

2つめは沿岸・沖合の資源減少。マイワシ・スケトウダラ・サンマなど、日本近海で獲れていた主要魚種が、1980-90年代にかけて急激に減少した。乱獲・海洋環境変化(黒潮・親潮の変動)・水温上昇など複数要因が指摘されているが、特にマイワシは1988年の449万tから2010年代の数十万tへと、単一魚種で日本の漁獲量を大きく動かす激減を経験した。

3つめは海洋環境の変化。日本近海の表面水温は20世紀後半から上昇を続けており、回遊魚の分布が北上している。サンマは三陸沖から北海道東部・千島列島南方へ、マグロ・ブリも北上傾向で、伝統的な漁港の位置と現在の魚の分布がずれてきている。気候変動の影響として今後も継続する見込みだ。

ただしこれらは複合要因の合算で、各県・各魚種でどの要因がどれだけ効いたかを切り分けることはできない。確実に言えるのは、「1984年ピーク以降、日本の漁業は構造的な縮小局面に入った」という観察事実だ。

富山-6.5%、静岡-37.8%、宮崎-35.8%は踏みとどまる

「31年で7割減」と書くと、全県で同じレベルの縮小が起きたように聞こえる。しかし減少率の小さい県を見ると、景色が違う。

順位 都道府県 1984年 2015年 減少率
39 富山県 4.7万t 4.4万t -6.5%
38 愛知県 10.9万t 7.2万t -33.9%
37 宮崎県 19.6万t 12.6万t -35.8%
36 静岡県 33.2万t 20.7万t -37.8%
35 兵庫県 9.4万t 5.4万t -42.1%

富山県の-6.5%は、全国で最も小さい減少率。富山湾は深海性の魚種(ホタルイカ・ベニズワイガニ・シロエビなど)が中心で、遠洋漁業の比重が小さい。1984年時点で既に「沿岸・近海漁業中心の県」だったため、EEZ縮小の影響を相対的に受けにくかったと見られる。

静岡-37.8%・宮崎-35.8%・愛知-33.9%は、漁港の機能と漁船団の構成が遠洋漁業からの転換を比較的早く進められた地域。焼津・気仙沼・銚子といった伝統的な遠洋漁業基地は急減した一方、近海・養殖中心の港は相対的に維持されている。

つまり「31年で7割減」は全国合計の話で、その内訳には「遠洋漁業に依存していた港の急減」と「沿岸・養殖中心の港の維持」という分岐がある。

31年は3段階で進んだ: 拡大期→急落期→低位推移

漁獲量の31年推移を見ると、減少は均等ではなく3段階で進んでいる。

期間 全国合計 動き
1975年 957万t 拡大期の入口
1984年 1,150万t ピーク
1990年 957万t 緩やかな減少
1995年 601万t 急落期
2000年 502万t 低位への移行
2010年 412万t 低位推移
2015年 349万t 現状

第1段階の拡大期(1975-1984年)は、200海里宣言前で遠洋漁業がピークに達した時期。第2段階の急落期(1984-1995年)はEEZ運用本格化と主要魚種(マイワシ)の資源減少が重なり、11年で1,150万t→601万tと約半減した。第3段階の低位推移(2000-2015年)は500万t以下の水準で推移しており、漁業構造が「縮小後の新しい均衡点」を探っている時期と読める。

転換点として明確なのは1984年(ピーク)と1995年(500万t台への移行)。この2つの転換を経て、日本の漁業は遠洋・沖合中心から沿岸・養殖中心へと、構造的にシフトした31年だった。

全39県(海面漁業対象) 漁獲量変化率(1984→2015年)

海面漁業生産統計は海岸線を持つ39都道県が対象。内陸8県(栃木・群馬・埼玉・山梨・長野・岐阜・滋賀・奈良)は対象外。

順位 都道府県 1984年 2015年 減少率
1 東京都 93.5万t 4.5万t -95.2%
2 福島県 57.8万t 4.5万t -92.1%
3 山口県 29.0万t 2.9万t -90.0%
4 福岡県 32.0万t 3.5万t -89.0%
5 京都府 8.5万t 1.2万t -86.4%
6 青森県 56.6万t 11.4万t -79.8%
7 千葉県 55.0万t 11.2万t -79.7%
8 熊本県 9.9万t 2.0万t -79.4%
9 徳島県 5.0万t 1.1万t -79.1%
10 新潟県 15.9万t 3.4万t -78.7%
11 鳥取県 32.6万t 7.4万t -77.4%
12 茨城県 99.4万t 22.5万t -77.3%
13 大阪府 7.0万t 1.7万t -76.2%
14 宮城県 65.8万t 16.5万t -74.9%
15 大分県 13.0万t 3.5万t -72.8%
16 島根県 42.1万t 12.0万t -71.5%
17 和歌山県 7.2万t 2.3万t -68.1%
18 長崎県 86.9万t 29.6万t -65.9%
19 香川県 5.1万t 1.7万t -65.9%
20 沖縄県 4.4万t 1.7万t -61.8%
21 岡山県 1.2万t 0.5万t -61.2%
22 鹿児島県 19.8万t 7.8万t -60.8%
23 岩手県 27.7万t 10.9万t -60.8%
24 石川県 16.7万t 6.6万t -60.3%
25 愛媛県 19.3万t 8.2万t -57.6%
26 佐賀県 4.1万t 1.8万t -56.3%
27 福井県 3.3万t 1.5万t -55.9%
28 北海道 194万t 86.4万t -55.4%
29 神奈川県 9.4万t 4.3万t -53.6%
30 高知県 17.0万t 8.0万t -53.1%
31 秋田県 1.5万t 0.8万t -48.3%
32 広島県 3.2万t 1.8万t -45.5%
33 三重県 27.6万t 15.4万t -44.4%
34 山形県 1.0万t 0.6万t -43.2%
35 兵庫県 9.4万t 5.4万t -42.1%
36 静岡県 33.2万t 20.7万t -37.8%
37 宮崎県 19.6万t 12.6万t -35.8%
38 愛知県 10.9万t 7.2万t -33.9%
39 富山県 4.7万t 4.4万t -6.5%

1,150万t→349万t、その間に31年がある

日本の漁獲量は、1984年の1,150万tから2015年の349万tへ-69.6%。31年で約7割が消えた。最大減少は東京都-95.2%、最小は富山県-6.5%。同じ国の同じ31年で起きた現象だが、地域でこれほど不均等な縮小はめずらしい。背景には200海里経済水域の確立による遠洋漁業縮小、マイワシ等主要魚種の資源減少、海洋環境変化による分布シフトの3要因が複合的に効いており、「縮小後の新しい均衡点」を日本の漁業は今も探っている。1984年の1,150万tは、もう戻らないかもしれない。


もっと詳しく

データ出典: 農林水産省「海面漁業生産統計」長期累年(1957〜2015年、海岸線を持つ39都道県対象)

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