清酒支出額1位は秋田市10,089円。最下位那覇市1,479円との差は6.82倍。

清酒支出額1位は秋田市10,089円。最下位那覇市1,479円との差は6.82倍。
日本酒の主な消費地はどこか。家計調査で都道府県庁所在市及び政令指定都市の清酒支出額を並べると、答えははっきり東北と信越に集中する。
直近3年(2023〜2025年)平均で、1位は秋田市の10,089円。2位は福島市9,366円、3位は長野市7,350円、4位は新潟市7,344円、5位は盛岡市7,136円。上位5都市のうち4都市が東北、1都市が信越。上位10都市まで広げても、東北6県・信越3県の都市が9を占める。
全国平均は5,440円。1位秋田はその1.85倍、最下位の那覇市1,479円とは6.82倍の差がある。
秋田10,089円、福島9,366円、東北・信越が上位独占

上位10都市を並べると、地図がそのまま酒どころに重なる。
| 順位 | 観測都市 | 3年平均支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 秋田市 | 10,089円 |
| 2位 | 福島市 | 9,366円 |
| 3位 | 長野市 | 7,350円 |
| 4位 | 新潟市 | 7,344円 |
| 5位 | 盛岡市 | 7,136円 |
| 6位 | 金沢市 | 7,122円 |
| 7位 | 山形市 | 7,029円 |
| 8位 | 青森市 | 6,761円 |
| 9位 | 仙台市 | 6,729円 |
| 10位 | 富山市 | 6,691円 |
1位秋田と2位福島は、ともに全国平均の1.7〜1.9倍。この2都市だけが9,000円以上で、3位以下は7,000円台に分かれる。
上位10都市には、秋田・福島・長野・新潟・盛岡・金沢・山形・青森・仙台・富山と、東北6県・信越2県・北陸2県の都市がすべて入っている。全国的に酒蔵が密集している地域と、家庭の日本酒支出額が一致している構図だ。
なぜ秋田が1位なのか
秋田県は県内の酒蔵数が約30、全国でも上位の集積度を持つ酒どころだ。「雪中貯蔵」「秋田酒こまち」といった地酒ブランドが充実しており、県内で日本酒を日常的に購入する世帯が多い。
冬の寒さが厳しい地域では、日本酒を燗(かん)で飲む習慣が根強く残っている。東北・信越・北陸の上位都市に共通する生活習慣として、寒さと日本酒の相性が挙げられる。
秋田市10,089円は、2位福島市との差が723円。福島市も県内に会津・二本松・南会津など酒どころが点在しており、両都市は「清酒消費の2強」と言える位置にある。
先日の記事で取り上げた納豆ランキングでも、1位福島・2位盛岡・3位秋田・4位水戸・5位青森と東北都市が上位を並べていた。和食文化が厚く、発酵食品や日本酒が日常食として根付いている地域が、家計調査のさまざまな品目で共通して上位に入るという構造がある。
最下位は那覇市の1,479円、九州南部も下位
下位を見ると、沖縄・九州南部・四国南部が並ぶ。
| 順位 | 観測都市 | 3年平均支出額 |
|---|---|---|
| 49位 | 高知市 | 3,148円 |
| 50位 | 宮崎市 | 2,408円 |
| 51位 | 鹿児島市 | 2,378円 |
| 52位 | 那覇市 | 1,479円 |
最下位の那覇市1,479円は、1位秋田市の約15%。差は6.82倍にのぼる。沖縄では泡盛・焼酎が伝統的な蒸留酒として優位で、日本酒(清酒)の家庭購入は限定的だ。
宮崎・鹿児島も焼酎の本場で、清酒支出額は下位に沈む。先に取り上げた焼酎ランキング(1位宮崎12,067円、2位鹿児島11,351円)とまさに逆の並びになっており、「日本酒の東、焼酎の南」という酒の地理が数字ではっきり見える。
全国では17年で約-21%、全体は縮小

全国平均の清酒支出額は、2007〜2009年の6,901円から2023〜2025年の5,440円へと、約21%減少している。
背景には、ビール・ハイボール・ワイン・チューハイなどへの消費分散、若年層の日本酒離れ、日本酒のプレミア化(少量高価格化)などが挙げられる。家計調査は「支出額」を測る統計なので、高価格な日本酒を少量飲む世帯が増えた結果として、全体の支出額はやや減ってきた可能性もある。
秋田市・福島市の上位2都市も、長期的には全国と同様に減少トレンドにある。ただし、全国平均より下げ幅が相対的に小さく、酒どころとしての相対的な位置は保たれている。
全52観測都市ランキング
家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。
| 順位 | 名称 | 2023〜2025年平均 | 順位 | 名称 | 2023〜2025年平均 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 秋田市 | 10,089円 | 27 | 浜松市 | 5,247円 | |
| 2 | 福島市 | 9,366円 | 28 | 和歌山市 | 5,181円 | |
| 3 | 長野市 | 7,350円 | 29 | 相模原市 | 5,174円 | |
| 4 | 新潟市 | 7,344円 | 30 | 大津市 | 5,097円 | |
| 5 | 盛岡市 | 7,136円 | 31 | 山口市 | 5,094円 | |
| 6 | 金沢市 | 7,122円 | 32 | 堺市 | 5,078円 | |
| 7 | 山形市 | 7,029円 | 33 | 高松市 | 5,052円 | |
| 8 | 青森市 | 6,761円 | 34 | 福岡市 | 5,036円 | |
| 9 | 仙台市 | 6,729円 | 35 | 川崎市 | 4,939円 | |
| 10 | 富山市 | 6,691円 | 36 | 佐賀市 | 4,881円 | |
| 11 | 宇都宮市 | 6,428円 | 37 | 広島市 | 4,841円 | |
| 12 | さいたま市 | 6,399円 | 38 | 熊本市 | 4,782円 | |
| 13 | 水戸市 | 6,398円 | 39 | 大阪市 | 4,689円 | |
| 14 | 東京都区部 | 6,229円 | 40 | 前橋市 | 4,643円 | |
| 15 | 奈良市 | 6,098円 | 41 | 長崎市 | 4,583円 | |
| 16 | 甲府市 | 6,024円 | 42 | 岡山市 | 4,422円 | |
| 17 | 福井市 | 5,923円 | 43 | 静岡市 | 4,063円 | |
| 18 | 札幌市 | 5,861円 | 44 | 岐阜市 | 4,036円 | |
| 19 | 松江市 | 5,847円 | 45 | 徳島市 | 3,952円 | |
| 20 | 横浜市 | 5,619円 | 46 | 津市 | 3,874円 | |
| 21 | 鳥取市 | 5,544円 | 47 | 大分市 | 3,644円 | |
| 22 | 神戸市 | 5,437円 | 48 | 松山市 | 3,574円 | |
| 23 | 千葉市 | 5,428円 | 49 | 高知市 | 3,148円 | |
| 24 | 京都市 | 5,407円 | 50 | 宮崎市 | 2,408円 | |
| 25 | 名古屋市 | 5,361円 | 51 | 鹿児島市 | 2,378円 | |
| 26 | 北九州市 | 5,286円 | 52 | 那覇市 | 1,479円 |
秋田10,089円、那覇1,479円、日本酒の東・焼酎の南
秋田市10,089円、福島市9,366円、全国平均5,440円、最下位那覇市1,479円。1位と最下位で6.82倍、上位10都市はすべて東北・信越・北陸。日本酒を日常的に買う地図は、冬の寒さと酒蔵の密集地図にほぼ重なる。同じ日本の中で、東に日本酒、南に焼酎という酒の棲み分けが、家計調査の数字からくっきり浮かび上がる。
もっと詳しく
データ出典: 総務省「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)



