納豆1位は福島市7,102円、水戸市は4位。上位は東北勢が並ぶ。

納豆1位は福島市7,102円、水戸市は4位。上位は東北勢が並ぶ。
納豆と言えば、水戸。そう答える人は多いだろう。
しかし、家計調査で実際の支出額を並べると、数字は違う姿を見せる。
直近3年(2023〜2025年)平均で、都道府県庁所在市及び政令指定都市の納豆支出額を並べると、1位は福島市の7,102円。水戸市は4位の6,797円で、首位から約300円差の位置にいる。
上位5都市は、1位福島市、2位盛岡市6,950円、3位秋田市6,875円、4位水戸市、5位青森市6,732円。1位から5位まで、すべて東北6県の県庁所在市と北関東の水戸市で占められている。
納豆1位は福島市、2位は盛岡市

上位10都市を並べると、東北地方の厚みが分かる。
| 順位 | 観測都市 | 3年平均支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 福島市 | 7,102円 |
| 2位 | 盛岡市 | 6,950円 |
| 3位 | 秋田市 | 6,875円 |
| 4位 | 水戸市 | 6,797円 |
| 5位 | 青森市 | 6,732円 |
| 6位 | 山形市 | 6,461円 |
| 7位 | 長野市 | 6,384円 |
| 8位 | 前橋市 | 6,383円 |
| 9位 | 仙台市 | 6,195円 |
| 10位 | 富山市 | 6,110円 |
東北6県の県庁所在市(福島・盛岡・秋田・青森・山形・仙台)がすべてトップ10入り。これに水戸・前橋の北関東、長野・富山の中部・北陸が加わる。「納豆を日常的に買う文化」は、東北を中核に北関東・中部北陸にまで広がっているとみて良い。
1位福島市の7,102円は、全国平均4,759円の1.49倍。最下位和歌山市2,468円との差は2.88倍にのぼる。
興味深いのは、1位から6位までの差が700円以内で収まっていることだ。福島7,102・盛岡6,950・秋田6,875・水戸6,797・青森6,732・山形6,461。数十円〜数百円の刻みで並んでおり、「東北+水戸エリア」が一つの納豆文化圏として、似たような支出額で並んでいるように見える。
なぜ「納豆=水戸」と言われるのか

水戸は納豆の名産地として長く知られる。明治期に水戸駅で販売された「水戸納豆」が、鉄道の普及とともに全国に広まり、「納豆=水戸」のブランドが定着した。製造・販売のブランド発祥地としての存在感は今も大きい。
ただし家計調査は「買って食べる量」を測る統計なので、ブランド発祥地が必ずしも1位になるとは限らない。福島・盛岡・秋田・青森といった東北各都市は、家庭に納豆が根付いており、購入頻度と購入金額の両方で上位を確保している。
水戸市の4位は、他の東北勢と僅差に並ぶ位置。「納豆の街」の看板どおり全国上位には入っているが、首位は東北勢に譲っている、という構図だ。
この構造は、かつて公開された家計調査データでもほぼ同じ。水戸市は長年、納豆の支出額で全国3〜5位圏を推移しており、常に首位というわけではなかった。発祥地や特産地のブランドイメージと、家庭で日常的に買う量は、必ずしもイコールにならない。同じ「名産地」の例では、ヨーグルトで札幌市が46位、緑茶で静岡市は1位でも全国は17年で約-37%といった具合に、イメージと数字の間に独自のズレが現れる。
最下位は和歌山市の2,468円
下位を見ると、西日本・南日本の都市が並ぶ。
| 順位 | 観測都市 | 3年平均支出額 |
|---|---|---|
| 49位 | 高知市 | 3,176円 |
| 50位 | 堺市 | 3,137円 |
| 51位 | 和歌山市 | 2,468円 |
最下位の和歌山市2,468円は、1位福島市7,102円の約35%。差は2.88倍。西日本では大阪市3,199円(48位)、徳島市3,282円(47位)、高松市3,468円(46位)、神戸市3,491円(45位)が続き、近畿・四国の都市が軒並み下位を占めている。
西日本には「糸を引く発酵食品」を日常の食卓で好まない地域があり、それが支出額にも現れているとみる説があるが、家計調査の数字からその因果を断定することはできない。地域ごとの食文化の違いが、単純に2.88倍という数字に現れている。下位10都市を見ても、大阪・堺・神戸の関西3市、徳島・高松・松山の四国3市、広島など西日本の都市が並ぶ。東北で日常食として食卓に上がる納豆が、西日本では登場回数が少ないまま家計を通り過ぎているとみて良い。
全52観測都市ランキング
家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。
| 順位 | 名称 | 2023〜2025年平均 | 順位 | 名称 | 2023〜2025年平均 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 福島市 | 7,102円 | 27 | 福井市 | 4,748円 | |
| 2 | 盛岡市 | 6,950円 | 28 | 佐賀市 | 4,744円 | |
| 3 | 秋田市 | 6,875円 | 29 | 相模原市 | 4,691円 | |
| 4 | 水戸市 | 6,797円 | 30 | 大分市 | 4,637円 | |
| 5 | 青森市 | 6,732円 | 31 | 長崎市 | 4,507円 | |
| 6 | 山形市 | 6,461円 | 32 | 名古屋市 | 4,457円 | |
| 7 | 長野市 | 6,384円 | 33 | 宮崎市 | 4,372円 | |
| 8 | 前橋市 | 6,383円 | 34 | 北九州市 | 4,341円 | |
| 9 | 仙台市 | 6,195円 | 35 | 那覇市 | 4,271円 | |
| 10 | 富山市 | 6,110円 | 36 | 津市 | 4,212円 | |
| 11 | 宇都宮市 | 6,087円 | 37 | 岡山市 | 4,207円 | |
| 12 | 熊本市 | 6,008円 | 38 | 山口市 | 4,199円 | |
| 13 | さいたま市 | 5,597円 | 39 | 大津市 | 4,165円 | |
| 14 | 新潟市 | 5,420円 | 40 | 奈良市 | 4,069円 | |
| 15 | 甲府市 | 5,373円 | 41 | 京都市 | 3,921円 | |
| 16 | 浜松市 | 5,321円 | 42 | 松江市 | 3,881円 | |
| 17 | 千葉市 | 5,189円 | 43 | 松山市 | 3,847円 | |
| 18 | 東京都区部 | 5,102円 | 44 | 鳥取市 | 3,842円 | |
| 19 | 静岡市 | 5,093円 | 45 | 広島市 | 3,723円 | |
| 20 | 金沢市 | 5,078円 | 46 | 神戸市 | 3,491円 | |
| 21 | 福岡市 | 5,067円 | 47 | 高松市 | 3,468円 | |
| 22 | 札幌市 | 5,066円 | 48 | 徳島市 | 3,282円 | |
| 23 | 鹿児島市 | 4,944円 | 49 | 大阪市 | 3,199円 | |
| 24 | 横浜市 | 4,785円 | 50 | 高知市 | 3,176円 | |
| 25 | 川崎市 | 4,776円 | 51 | 堺市 | 3,137円 | |
| 26 | 岐阜市 | 4,772円 | 52 | 和歌山市 | 2,468円 |
福島7,102円、水戸6,797円、和歌山2,468円
福島市7,102円、水戸市6,797円、全国平均4,759円、最下位和歌山市2,468円。水戸は1位ではなく4位で、上位は東北勢が横並びに並ぶ。1位と最下位で2.88倍、全国平均の1.49倍で福島が首位に立つ。「納豆=水戸」のブランドは変わらない。ただし、家庭の食卓で納豆をもっとも多く買っているのは、東北の県庁所在市たちだった。
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データ出典: 総務省「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)



