図書館数(人口10万あたり)1位は山梨県6.6館。最下位神奈川0.9館で、差は7.3倍。

図書館数(人口10万あたり)1位は山梨県6.6館。最下位神奈川0.9館で、差は7.3倍。
人口あたりの図書館数を見ると、都道府県のランキングは意外な顔ぶれになる。
文部科学省の「社会教育調査」(2021年)で、人口10万人あたりの図書館数を都道府県ごとに並べると、1位は山梨県の6.6館。2位は島根県6.2館、3位は長野県5.9館、4位は高知県5.9館。人口規模が小さい県が上位に並ぶ。
全国平均は3.45館/10万人。1位山梨はその1.91倍、最下位は神奈川県の0.9館で、1位との差は7.33倍にのぼる。
山梨6.6、島根6.2、長野5.9、地方の県が上位

上位10県を並べると、人口の少ない県と中央高地・山陰の県が並ぶ。
| 順位 | 都道府県 | 10万人あたり図書館数 |
|---|---|---|
| 1位 | 山梨県 | 6.6館 |
| 2位 | 島根県 | 6.2館 |
| 3位 | 長野県 | 5.9館 |
| 4位 | 高知県 | 5.9館 |
| 5位 | 富山県 | 5.5館 |
| 6位 | 鳥取県 | 5.5館 |
| 7位 | 秋田県 | 5.3館 |
| 8位 | 福井県 | 4.9館 |
| 9位 | 山口県 | 4.2館 |
| 10位 | 徳島県 | 4.1館 |
全国平均3.45館を上回るのは20位滋賀県3.6館までで止まる。つまり、上位20県だけが「全国平均以上の図書館密度」を持っていることになる。
上位10県はすべて人口が相対的に少なく、県内の自治体数も比較的少ない県だ。基礎自治体(市町村)が各1館の図書館を持つことで、人口が少ないほど「10万人あたりの館数」は上昇する仕組みが働いている。
11位以下には岩手・福島・鹿児島・佐賀・山形・岡山・新潟・石川・岐阜など、東北・九州・北陸・中国地方の県が並ぶ。「1人あたり」で強いのは、人口100〜200万人規模の地方県というパターンが、40位近くまで一貫している。
なぜ山梨・島根・長野が上位なのか
山梨県は53館、島根県は41館、長野県は120館。実数で見ると、山梨・島根は中規模、長野は中〜大規模の水準だ。しかし、山梨の人口は約81万人、島根は66万人、長野は202万人。「館数 ÷ 人口」で割ると、分母の小ささが効いて、10万人あたりの数字が押し上げられる。
日本の図書館は、多くが市町村立。市町村の数が相対的に多い県、あるいは1市1館(以上)の設置が行き渡っている県では、人口10万人あたりの館数が高くなりやすい。山梨・島根・長野はその典型にあたる。
一方で、図書館は「知のインフラ」でもある。数が多いことと、質(蔵書数・開館時間・アクセス性)が一致するとは限らない。実数の総和で見ると、東京都は401館、埼玉県は174館、北海道は165館と、人口の多い県は図書館総数でも上位に立つ。
最下位は神奈川の0.9館
下位を見ると、首都圏・大都市圏の県が並ぶ。
| 順位 | 都道府県 | 10万人あたり図書館数 |
|---|---|---|
| 43位 | 兵庫県 | 2.0館 |
| 44位 | 大阪府 | 1.8館 |
| 45位 | 宮城県 | 1.5館 |
| 46位 | 愛知県 | 1.3館 |
| 47位 | 神奈川県 | 0.9館 |
最下位の神奈川県0.9館は、1位山梨県の約14%。差は7.33倍にのぼる。神奈川県の図書館実数は85館あるが、人口が約920万人と大きいため、10万人あたりに換算すると1館を切る。
愛知県1.3館、大阪府1.8館、兵庫県2.0館と、人口の多い都市県が下位を占める。首都圏・関西圏・中京圏の大都市県に共通して言えるのは、「大きな図書館が少数ある」より「小さな図書館がたくさんある」状態にはなっていない、ということだ。
ただし、首都圏は鉄道交通が発達しており、居住地の近くに図書館がなくても、隣接市や職場近くの図書館を利用できる。物理的な館数は少なくても、交通を含めた「アクセス可能な図書館」の範囲は広いとみることもできる。
また、神奈川県の図書館85館のうち、横浜市・川崎市・相模原市など政令指定都市の市立図書館が相当数を占めるが、市全体の人口規模に対して館数を積み増しにくい構造がある。基礎自治体の数自体が少ないため、「市内の各区に1館」というレベルでは全体の分母と釣り合わない。都市が人口を吸収する力と、図書館整備のスピードが一致しないときに、こうしたランキング最下位が生まれる。
全47都道府県ランキング
2021年の人口10万人あたり図書館数を全47県で並べる。
| 順位 | 都道府県 | 館数 | 順位 | 都道府県 | 館数 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 山梨県 | 6.6 | 25 | 広島県 | 3.1 | |
| 2 | 島根県 | 6.2 | 26 | 長崎県 | 3.1 | |
| 3 | 長野県 | 5.9 | 27 | 和歌山県 | 3.0 | |
| 3 | 高知県 | 5.9 | 28 | 熊本県 | 3.0 | |
| 5 | 富山県 | 5.5 | 29 | 大分県 | 3.0 | |
| 5 | 鳥取県 | 5.5 | 30 | 青森県 | 2.9 | |
| 7 | 秋田県 | 5.3 | 31 | 栃木県 | 2.9 | |
| 8 | 福井県 | 4.9 | 32 | 群馬県 | 2.9 | |
| 9 | 山口県 | 4.2 | 33 | 東京都 | 2.9 | |
| 10 | 徳島県 | 4.1 | 34 | 静岡県 | 2.7 | |
| 11 | 岩手県 | 4.0 | 35 | 三重県 | 2.7 | |
| 12 | 福島県 | 4.0 | 36 | 京都府 | 2.7 | |
| 13 | 鹿児島県 | 4.0 | 37 | 沖縄県 | 2.7 | |
| 14 | 佐賀県 | 3.9 | 38 | 奈良県 | 2.5 | |
| 15 | 山形県 | 3.8 | 39 | 茨城県 | 2.4 | |
| 16 | 岡山県 | 3.8 | 40 | 埼玉県 | 2.4 | |
| 17 | 新潟県 | 3.7 | 41 | 千葉県 | 2.3 | |
| 18 | 石川県 | 3.7 | 42 | 福岡県 | 2.2 | |
| 19 | 岐阜県 | 3.7 | 43 | 兵庫県 | 2.0 | |
| 20 | 滋賀県 | 3.6 | 44 | 大阪府 | 1.8 | |
| 21 | 愛媛県 | 3.4 | 45 | 宮城県 | 1.5 | |
| 22 | 北海道 | 3.2 | 46 | 愛知県 | 1.3 | |
| 23 | 香川県 | 3.2 | 47 | 神奈川県 | 0.9 | |
| 24 | 宮崎県 | 3.2 |
山梨6.6館、神奈川0.9館、その差7.3倍
山梨県6.6館、神奈川県0.9館、全国平均3.45館。1位と最下位で7.33倍、上位10県はすべて人口100〜200万人規模の地方県、下位5県はすべて都市圏。館数(実数)で見ると東京401館、埼玉174館と大都市県が並ぶ一方、「1人あたり」で割ると景色が反転する。
同じ「図書館の地図」でも、総数で見るか、1人あたりで見るかで、日本の輪郭はこれほど違って現れる。
もっと詳しく
データ出典: 文部科学省「社会教育調査」(2021年、総務省「社会・人口統計体系」G1401 経由)



