ものがたり
2021年

図書館数(人口10万あたり)1位は山梨県6.6館。最下位神奈川0.9館で、差は7.3倍。

公開日: 2026-05-16
#図書館#山梨#島根#神奈川#文部科学省
図書館数(人口10万あたり)1位は山梨県6.6館。最下位神奈川0.9館で、差は7.3倍。

図書館数(人口10万あたり)1位は山梨県6.6館。最下位神奈川0.9館で、差は7.3倍。

人口あたりの図書館数を見ると、都道府県のランキングは意外な顔ぶれになる。

文部科学省の「社会教育調査」(2021年)で、人口10万人あたりの図書館数を都道府県ごとに並べると、1位は山梨県の6.6館。2位は島根県6.2館、3位は長野県5.9館、4位は高知県5.9館。人口規模が小さい県が上位に並ぶ。

全国平均は3.45館/10万人。1位山梨はその1.91倍、最下位は神奈川県の0.9館で、1位との差は7.33倍にのぼる。

山梨6.6、島根6.2、長野5.9、地方の県が上位

図書館数(10万人あたり・2021年)

上位10県を並べると、人口の少ない県と中央高地・山陰の県が並ぶ。

順位 都道府県 10万人あたり図書館数
1位 山梨県 6.6館
2位 島根県 6.2館
3位 長野県 5.9館
4位 高知県 5.9館
5位 富山県 5.5館
6位 鳥取県 5.5館
7位 秋田県 5.3館
8位 福井県 4.9館
9位 山口県 4.2館
10位 徳島県 4.1館

全国平均3.45館を上回るのは20位滋賀県3.6館までで止まる。つまり、上位20県だけが「全国平均以上の図書館密度」を持っていることになる。

上位10県はすべて人口が相対的に少なく、県内の自治体数も比較的少ない県だ。基礎自治体(市町村)が各1館の図書館を持つことで、人口が少ないほど「10万人あたりの館数」は上昇する仕組みが働いている。

11位以下には岩手・福島・鹿児島・佐賀・山形・岡山・新潟・石川・岐阜など、東北・九州・北陸・中国地方の県が並ぶ。「1人あたり」で強いのは、人口100〜200万人規模の地方県というパターンが、40位近くまで一貫している。

なぜ山梨・島根・長野が上位なのか

山梨県は53館、島根県は41館、長野県は120館。実数で見ると、山梨・島根は中規模、長野は中〜大規模の水準だ。しかし、山梨の人口は約81万人、島根は66万人、長野は202万人。「館数 ÷ 人口」で割ると、分母の小ささが効いて、10万人あたりの数字が押し上げられる。

日本の図書館は、多くが市町村立。市町村の数が相対的に多い県、あるいは1市1館(以上)の設置が行き渡っている県では、人口10万人あたりの館数が高くなりやすい。山梨・島根・長野はその典型にあたる。

一方で、図書館は「知のインフラ」でもある。数が多いことと、質(蔵書数・開館時間・アクセス性)が一致するとは限らない。実数の総和で見ると、東京都は401館、埼玉県は174館、北海道は165館と、人口の多い県は図書館総数でも上位に立つ。

最下位は神奈川の0.9館

下位を見ると、首都圏・大都市圏の県が並ぶ。

順位 都道府県 10万人あたり図書館数
43位 兵庫県 2.0館
44位 大阪府 1.8館
45位 宮城県 1.5館
46位 愛知県 1.3館
47位 神奈川県 0.9館

最下位の神奈川県0.9館は、1位山梨県の約14%。差は7.33倍にのぼる。神奈川県の図書館実数は85館あるが、人口が約920万人と大きいため、10万人あたりに換算すると1館を切る。

愛知県1.3館、大阪府1.8館、兵庫県2.0館と、人口の多い都市県が下位を占める。首都圏・関西圏・中京圏の大都市県に共通して言えるのは、「大きな図書館が少数ある」より「小さな図書館がたくさんある」状態にはなっていない、ということだ。

ただし、首都圏は鉄道交通が発達しており、居住地の近くに図書館がなくても、隣接市や職場近くの図書館を利用できる。物理的な館数は少なくても、交通を含めた「アクセス可能な図書館」の範囲は広いとみることもできる。

また、神奈川県の図書館85館のうち、横浜市・川崎市・相模原市など政令指定都市の市立図書館が相当数を占めるが、市全体の人口規模に対して館数を積み増しにくい構造がある。基礎自治体の数自体が少ないため、「市内の各区に1館」というレベルでは全体の分母と釣り合わない。都市が人口を吸収する力と、図書館整備のスピードが一致しないときに、こうしたランキング最下位が生まれる。

全47都道府県ランキング

2021年の人口10万人あたり図書館数を全47県で並べる。

順位 都道府県 館数 順位 都道府県 館数
1 山梨県 6.6 25 広島県 3.1
2 島根県 6.2 26 長崎県 3.1
3 長野県 5.9 27 和歌山県 3.0
3 高知県 5.9 28 熊本県 3.0
5 富山県 5.5 29 大分県 3.0
5 鳥取県 5.5 30 青森県 2.9
7 秋田県 5.3 31 栃木県 2.9
8 福井県 4.9 32 群馬県 2.9
9 山口県 4.2 33 東京都 2.9
10 徳島県 4.1 34 静岡県 2.7
11 岩手県 4.0 35 三重県 2.7
12 福島県 4.0 36 京都府 2.7
13 鹿児島県 4.0 37 沖縄県 2.7
14 佐賀県 3.9 38 奈良県 2.5
15 山形県 3.8 39 茨城県 2.4
16 岡山県 3.8 40 埼玉県 2.4
17 新潟県 3.7 41 千葉県 2.3
18 石川県 3.7 42 福岡県 2.2
19 岐阜県 3.7 43 兵庫県 2.0
20 滋賀県 3.6 44 大阪府 1.8
21 愛媛県 3.4 45 宮城県 1.5
22 北海道 3.2 46 愛知県 1.3
23 香川県 3.2 47 神奈川県 0.9
24 宮崎県 3.2

山梨6.6館、神奈川0.9館、その差7.3倍

山梨県6.6館、神奈川県0.9館、全国平均3.45館。1位と最下位で7.33倍、上位10県はすべて人口100〜200万人規模の地方県、下位5県はすべて都市圏。館数(実数)で見ると東京401館、埼玉174館と大都市県が並ぶ一方、「1人あたり」で割ると景色が反転する。

同じ「図書館の地図」でも、総数で見るか、1人あたりで見るかで、日本の輪郭はこれほど違って現れる。


もっと詳しく

データ出典: 文部科学省「社会教育調査」(2021年、総務省「社会・人口統計体系」G1401 経由)

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