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2023-2025年平均(3年平均)

福島市の桃支出額、震災の2011年に3,617円まで落ちた。2021年に9,087円でピークに迫り、その後7,000円台で推移している。

公開日: 2026-05-13
##福島#震災#復興#家計調査#3年平均
福島市の桃支出額、震災の2011年に3,617円まで落ちた。2021年に9,087円でピークに迫り、その後7,000円台で推移している。

福島市の桃支出額、震災の2011年に3,617円まで落ちた。2021年に9,087円でピークに迫り、その後7,000円台で推移している。

福島県の桃は、全国屈指の産地として知られる。2011年の東日本大震災と原発事故以降、風評被害を含めて出荷や消費が大きく揺れた品目でもある。

家計調査で、福島市の桃支出額の年次推移を追うと、その15年間の物語が数字として残っている。

震災前の2010年、福島市の桃支出額は9,227円。震災直後の2011年は3,617円にまで落ちた。前年比-61%、3分の1近くまで激減した水準だ。その後、ゆるやかに回復し、2021年には9,087円で2010年のピーク(9,227円)に並ぶ水準まで迫った(差140円、約-1.5%でピーク手前)。だが2022年以降は6,000〜7,000円台に落ち着き、直近3年平均(2023〜2025年)では6,663円で推移している。

直近3年平均で見ても、福島市の桃支出額は全国1位。全国平均1,103円の6.04倍にあたる。

上位は桃産地の県庁所在地

桃支出額ランキング 2023-2025年 3年平均

3年平均の上位を並べると、桃産地の県庁所在地が並ぶ。

順位 観測都市 3年平均支出額
1位 福島市 6,663円
2位 岡山市 3,565円
3位 長野市 3,094円
4位 和歌山市 2,576円
5位 甲府市 2,407円

福島県、岡山県、長野県、和歌山県、山梨県。いずれも桃の主要産地として知られる県の県庁所在地が並んでいる。福島市の6,663円は、2位岡山市の1.87倍、5位甲府市の2.77倍。産地圏の中でも福島市が突出している。

岡山市の背景には、明治時代の「清水白桃」発祥に始まる桃文化がある。長野市は南信地域や松代一帯で、山梨県の甲府市は一宮・石和一帯で、和歌山市は紀の川沿いで、それぞれ古くからの桃栽培が根づく。最上位に並んだ5都市は、いずれも地域に桃農家が集積している県の県庁所在地だ。

最下位52位は那覇市の336円、51位は宮崎市の447円、50位は鹿児島市の481円。南九州と沖縄では、桃の支出額は500円を下回る都市が多い。

福島市の15年、数字の物語

福島市の桃支出額推移 2007-2025年

福島市の桃支出額を年次で追うと、明確な3つの段階が見える。

震災前(2007〜2010年): 6,700〜9,200円台で推移。2010年は9,227円で、15年間のピーク。

震災直後(2011〜2013年): 2011年に3,617円(前年比-61%)まで激減。原発事故後の風評被害、県内避難、流通停滞が重なった時期。2012年4,590円、2013年4,296円とやや持ち直したが、震災前水準には程遠い状態が続く。

緩やかな回復(2014〜2020年): 2014年6,871円、2015年7,351円と回復傾向。2016年に3,838円へ再び落ち込む年もあるが、全体として右肩上がり。2019年7,424円まで上昇した後、2020年はコロナ禍で5,743円に下がる。

ピーク水準への回復とその後(2021〜2025年): 2021年に9,087円へ。2010年のピーク9,227円とほぼ同じ水準(差140円)まで戻った。しかし2022年以降は6,132〜7,041円で推移し、6,000〜7,000円台に落ち着いている。

なぜ2021年にピーク水準まで戻ったのか

桃支出額の年次変化率 福島市

2021年の9,087円は、震災後10年という節目で起きた。コロナ禍の外出自粛で家庭内消費が全体的に増えた時期でもあり、果物購入全般が伸びたタイミングだった可能性がある。

その後2022年以降に6,000〜7,000円台へ落ち着いているのは、コロナ禍の反動で家庭内消費が調整されたこと、果物の選択肢が広がって桃以外のフルーツへの支出が分散したことなど、複合的な要因が考えられる。

全52都市 桃 支出額一覧

家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。

順位 名称 2023〜2025年平均 順位 名称 2023〜2025年平均
1 福島市 6,663円 27 岐阜市 954円
2 岡山市 3,565円 28 徳島市 951円
3 長野市 3,094円 29 前橋市 918円
4 和歌山市 2,576円 30 秋田市 917円
5 甲府市 2,407円 31 長崎市 885円
6 高松市 1,913円 32 広島市 830円
7 奈良市 1,547円 33 富山市 816円
8 仙台市 1,534円 34 北九州市 808円
9 新潟市 1,464円 35 大分市 752円
10 静岡市 1,362円 36 盛岡市 749円
11 京都市 1,356円 37 松山市 735円
12 山形市 1,350円 38 青森市 729円
13 千葉市 1,309円 39 高知市 728円
14 東京都区部 1,258円 40 津市 708円
15 さいたま市 1,235円 41 福岡市 669円
16 川崎市 1,217円 42 札幌市 667円
17 水戸市 1,214円 43 福井市 636円
18 大阪市 1,151円 44 佐賀市 628円
19 宇都宮市 1,084円 45 浜松市 585円
20 横浜市 1,082円 46 山口市 568円
21 大津市 1,067円 47 松江市 562円
22 堺市 1,054円 48 熊本市 561円
23 名古屋市 1,047円 49 鳥取市 536円
24 神戸市 1,045円 50 鹿児島市 481円
25 金沢市 1,004円 51 宮崎市 447円
26 相模原市 969円 52 那覇市 336円

2010年9,227円、2011年3,617円、2021年9,087円、2025年7,041円

福島市の桃支出額は、15年で大きな振れ幅を持った。ピーク9,227円、震災直後3,617円、回復期9,087円、そして最新で7,041円。同じ都市、同じ品目で、時代ごとに違う数字が記録されている。直近3年平均6,663円は、全国平均の5.8倍で全国1位。震災から15年、福島の桃はなお全国随一の支出額を保ちながら、緩やかな揺れを続けている。


もっと詳しく

データ出典: 総務省統計局「家計調査」(2007〜2025年、二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)

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