47ものがたり
2026年

47都道府県の県庁舎、その足元の標高は177倍の差があった。最高の長野市371mと最低の横浜市2.1m。

公開日: 2026-04-28
#標高#地理#県庁所在地#国土地理院
47都道府県の県庁舎、その足元の標高は177倍の差があった。最高の長野市371mと最低の横浜市2.1m。

47都道府県の県庁舎、その足元の標高は177倍の差があった。最高の長野市371mと最低の横浜市2.1m。

本記事の「標高」は、国土地理院の標高APIで各県庁舎の緯度経度1地点を照会したDEM(数値標高モデル)値を指す。市全体の平均ではなく、県庁舎が建つ地面の海抜である。

県庁舎という、どの県にも1つだけある場所。しかしその足元の海抜は、これほど違う。

国土地理院の標高APIで47都道府県の県庁舎を調べると、最高は長野市の371.4m、最低は横浜市のわずか2.1m。その差は177倍に達する。

普段の暮らしでは意識しにくいが、県庁の建物ひとつをとっても、地面の海抜は都市ごとに大きく違っている。

海抜5m以下の県庁舎は、47のうち15もある。3m以下にまで絞ると、徳島市(2.8m)、青森市(2.4m)、横浜市(2.1m)の3つだ。これらの県庁舎の足元は、満潮の海面とほぼ同じ高さにある。

最も高い県庁舎は長野市の371m

県庁舎の足元の標高トップ10を並べると、内陸の都市が並ぶ。

順位 都道府県 県庁所在地 標高
1位 長野県 長野市 371.4m
2位 山梨県 甲府市 269.8m
3位 山形県 山形市 197.6m
4位 岩手県 盛岡市 128.1m
5位 栃木県 宇都宮市 120.9m
6位 群馬県 前橋市 108.2m
7位 滋賀県 大津市 94.8m
8位 福島県 福島市 67.0m
9位 奈良県 奈良市 62.3m
10位 宮城県 仙台市 48.3m

いずれも内陸部にあり、長野・甲府・山形・盛岡は山間の盆地に位置する。とくに長野市の371mは、2位の甲府市269mを100m近く引き離している。

盆地の底であっても、海面との差は大きい。長野市の県庁からまっすぐ東京湾に向かってボールを転がせば、理論上は370m以上落ちていく計算になる。

なぜ長野市は371mと高いのか

長野市は千曲川と犀川の合流部にひらける長野盆地の中にある。盆地の底と言っても、海抜は300〜400m台に達する。戸隠連峰や志賀高原、北アルプスなど、周囲をさらに高い山に囲まれているため、市街地の標高が高くても「高地」と意識されにくい。

県庁がこの場所に置かれた背景の一つには、善光寺の門前町として発展してきた歴史と無関係ではなさそうだ。明治初期、松本と長野で県庁の所在地をめぐる議論があったが、結果として長野市が選ばれ、現在まで行政の中心として続いている。

標高371mの県庁舎は、都道府県のなかでは異例の高さだ。

海抜5m以下の15都市はどこか

標高ボトム10を見ると、様相は一変する。

順位 都道府県 県庁所在地 標高
38位 高知県 高知市 4.1m
39位 広島県 広島市 4.0m
40位 香川県 高松市 4.0m
41位 千葉県 千葉市 3.6m
42位 大分県 大分市 3.5m
43位 新潟県 新潟市 3.2m
44位 島根県 松江市 3.2m
45位 徳島県 徳島市 2.8m
46位 青森県 青森市 2.4m
47位 神奈川県 横浜市 2.1m

海抜5m以下の県庁舎は、ここに載る10都市に加え、福岡市(4.8m)、佐賀市(4.8m)、岡山市(4.7m)、鹿児島市(4.7m)、宮崎市(4.4m)を足した15にのぼる。

これらの県庁舎は河口部や湾奥に立地しており、歴史的に港湾機能や平野の便を優先してきた経緯がある。一方で、高潮・津波・洪水といった水害リスクはほかの都市より大きい。

なぜ横浜市は2.1mなのか

横浜市の神奈川県庁本庁舎は、関内地区の日本大通りに面している。東京湾からの距離は1kmに満たず、このあたりは幕末の開港以降、埋め立てによって広がってきたエリアだ。

関東大震災(1923年)後の復興のなかで、関内地区は神奈川県の行政中心として整備が進んだ。横浜港と近接する立地は経済活動に有利だが、その分、海面との距離が極端に小さい。

海抜2.1mは、満潮時の水位とほぼ同じ高さに近い。高潮や津波対策として、防潮堤やハザードマップの整備が継続的に行われているが、数字の上では日本の県庁舎でもっとも低い位置にある。

県内最高峰で見るもうひとつの地図

県庁舎の足元の標高とは別に、それぞれの県内で最も高い山を並べると、また違う地図が現れる。

順位 都道府県 県内最高峰 標高
1位 山梨県・静岡県 富士山 3,748.4m
3位 長野県・岐阜県 奥穂高岳 3,183.5m
5位 富山県 立山 2,907.7m
6位 石川県 白山 2,680.6m
7位 栃木県・群馬県 白根山 2,453.8m

富士山は山梨・静岡の両方の県内最高峰で、共有されている。長野・岐阜の奥穂高岳も同様だ。

一方、最も低い県内最高峰は沖縄県の於茂登岳(92.2m)。富士山の41分の1しかない。次に低いのは千葉県の愛宕山(187.7m)、香川県の竜王山(306.7m)、茨城県の八溝山(381.7m)と続く。

沖縄県の最高峰が、長野市の県庁舎(371.4m)より低いという事実は、日本の地形の多様さを象徴している。

全47県の県庁舎 標高一覧

順位 都道府県 県庁所在地 標高 順位 都道府県 県庁所在地 標高
1 長野県 長野市 371.4m 25 愛知県 名古屋市 10.6m
2 山梨県 甲府市 269.8m 26 和歌山県 和歌山市 8.6m
3 山形県 山形市 197.6m 27 沖縄県 那覇市 8.6m
4 岩手県 盛岡市 128.1m 28 岐阜県 岐阜市 7.9m
5 栃木県 宇都宮市 120.9m 29 富山県 富山市 7.8m
6 群馬県 前橋市 108.2m 30 秋田県 秋田市 5.7m
7 滋賀県 大津市 94.8m 31 石川県 金沢市 5.4m
8 福島県 福島市 67.0m 32 鳥取県 鳥取市 5.2m
9 奈良県 奈良市 62.3m 33 福岡県 福岡市 4.8m
10 宮城県 仙台市 48.3m 34 佐賀県 佐賀市 4.8m
11 山口県 山口市 48.1m 35 岡山県 岡山市 4.7m
12 京都府 京都市 47.2m 36 鹿児島県 鹿児島市 4.7m
13 東京都 新宿区 41.1m 37 宮崎県 宮崎市 4.4m
14 茨城県 水戸市 30.4m 38 高知県 高知市 4.1m
15 兵庫県 神戸市 28.2m 39 広島県 広島市 4.0m
16 愛媛県 松山市 24.0m 40 香川県 高松市 4.0m
17 静岡県 静岡市 21.9m 41 千葉県 千葉市 3.6m
18 熊本県 熊本市 18.9m 42 大分県 大分市 3.5m
19 北海道 札幌市 18.6m 43 新潟県 新潟市 3.2m
20 三重県 津市 17.1m 44 島根県 松江市 3.2m
21 埼玉県 さいたま市 15.6m 45 徳島県 徳島市 2.8m
22 大阪府 大阪市 15.5m 46 青森県 青森市 2.4m
23 長崎県 長崎市 11.5m 47 神奈川県 横浜市 2.1m
24 福井県 福井市 11.3m

最高371m、最低2.1m、その差177倍

県庁舎の足元の標高は、そこに住む人の暮らしや、災害時のリスク、都市が形成された歴史を静かに示している。長野市の371mは盆地の底、横浜市の2.1mは港町の臨海部。どちらも県庁が置かれた理由があり、地形ごとに違う物語を抱えている。

47の県庁舎のうち15が海抜5m以下、3つが3m以下。そして最高の長野市と最低の横浜市で177倍の差。同じ「県庁舎」と名のつく場所で、これほどの違いが地形として刻まれている。


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データ出典: 国土地理院 標高API(2026年取得、DEM5m / DEM10m 自動選択)