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2023-2025年平均(3年平均)

かつて全国2位だった金沢市のビール支出額が、19年で43%落ちた。

公開日: 2026-04-25
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かつて全国2位だった金沢市のビール支出額が、19年で43%落ちた。

かつて全国2位だった金沢市のビール支出額が、19年で43%落ちた。

ビール支出額は全国的に落ちている。

家計調査で、都道府県庁所在市及び政令指定都市のデータを直近3年(2023〜2025年)の平均で見ると、全国平均は12,985円。19年前(2007〜2009年)の16,128円から19%減少した。

そのなかで大きく落ちた都市のひとつが、金沢市だ。

金沢市の2007〜2009年平均は19,817円。当時は京都市に次ぐ全国2位だった。それが2023〜2025年では11,377円。下落率は43%に達する。食文化への関心が高い地域として知られる金沢市で、ビール支出額は大きく落ち込んだ。

一方、現在の1位は青森市で18,770円。同じ19年間で33%増えている。全国平均が19%落ちる中で、青森市は逆行している。

上位には東北と北日本が目立つ

ビール支出額ランキング 2023-2025年 3年平均

直近3年の平均支出額ランキングを並べてみる。

順位 観測都市 3年平均支出額 変化率(19年間)
1位 青森市 18,770円 +33%
2位 盛岡市 18,264円 +3%
3位 広島市 16,098円 -5%
4位 長野市 15,800円 +1%
5位 秋田市 15,661円 -10%
6位 札幌市 15,615円 -20%
51位 高知市 8,455円 -34%

上位には東北と北日本の都市が並ぶ。寒い地域ほどビールをよく買う、という一見不思議な構図だ。

注目は1位の青森市だ。19年間で33%増加と、全国でも目立つ上昇を記録している。全国平均が19%落ちている中で、青森市は逆行している。

最下位は高知市(8,455円)。50位の大分市(8,847円)、49位の奈良市(9,430円)も低い水準だ。なお下落率では奈良市が-43%で、金沢市と並ぶワースト水準になっている。

金沢市が落ちた理由、青森市が上がった理由

ビール支出額の推移 2007-2025年

2007年から2025年の推移グラフを見ると、3つの動きが読み取れる。

全国平均は右肩下がりだ。2007年の17,218円から2025年には13,436円まで落ちた。家庭で買うビールは、長期的には減少傾向にある。

金沢市は2007年に24,923円という突出した数値を記録していた。全国平均の1.4倍を超える水準だ。それが2008年に17,449円へ急落し、その後も回復していない。2025年の単年値は9,407円。長期で見ると大きく水準を下げている。

青森市は一貫して高い水準を保ち、2021年以降に上昇が目立つ。2025年の単年値は20,168円。全国平均を大きく上回る水準だ。

なぜ青森市が増え、金沢市が落ちたのか

ビール支出額の19年変化率

数字からは3つの仮説が読み取れる。

理由1 — 金沢市の急落は、初期値の高さが際立っていた。
金沢市の2007年24,923円という水準はかなり高い。家計調査は標本調査なので、単年値にはぶれもある。ただ、その後も長く低下傾向が続いているため、単なる一時的な揺れだけでは説明しにくい。

理由2 — 青森市では「家庭で買うビール」が根強いのかもしれない。
家計調査が測るのは家庭での支出額だ。外食で飲んだ分は含まれない。青森市では家庭内でビールを買う習慣が比較的強く残っており、それが数字に出ている可能性がある。

理由3 — 全国では「ビール以外」へのシフトも進んだ。
この統計が計測するのは「ビール」の支出額で、発泡酒や第三のビールは別カテゴリだ。2010年代以降、酒類の選択肢が広がる中で、家庭で買う酒の中身が変わった可能性がある。全国平均の低下には、そうした代替も影響していそうだ。

ビールが見せる地域の「こだわり」

全国でビール支出額が19%落ちる中、青森市・盛岡市・秋田市などは高い水準を維持している。東北の上位集中は、家で何を買って飲むかという習慣の地域差を感じさせる。

気候と消費行動の関係は、単純な「暑いから飲む」では説明できない。生活様式、外食との住み分け、家庭での酒の選び方。複数の要因が絡み合っている。

19年で全国のビール支出額は19%減り、金沢市は43%落ち、青森市は33%伸びた。同じ日本の、同じ統計で、これだけの差が出る。

全52観測都市ランキング

家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。

順位 名称 2023〜2025年平均 順位 名称 2023〜2025年平均
1 青森市 18,770円 27 福井市 12,079円
2 盛岡市 18,264円 28 大阪市 12,039円
3 広島市 16,098円 29 仙台市 11,924円
4 長野市 15,800円 30 高松市 11,865円
5 秋田市 15,661円 31 水戸市 11,727円
6 札幌市 15,615円 32 浜松市 11,716円
7 新潟市 15,192円 33 宮崎市 11,708円
8 京都市 14,810円 34 和歌山市 11,645円
9 富山市 14,682円 35 千葉市 11,537円
10 山形市 14,371円 36 金沢市 11,377円
11 東京都区部 14,352円 37 宇都宮市 11,308円
12 鳥取市 13,893円 38 名古屋市 11,242円
13 川崎市 13,882円 39 徳島市 10,977円
14 神戸市 13,851円 40 前橋市 10,956円
15 さいたま市 13,624円 41 相模原市 10,542円
16 那覇市 13,324円 42 佐賀市 10,376円
17 福島市 13,258円 43 鹿児島市 10,321円
18 北九州市 13,150円 44 津市 10,210円
19 松江市 12,696円 45 甲府市 10,139円
20 堺市 12,609円 46 松山市 10,118円
21 静岡市 12,582円 47 長崎市 10,112円
22 山口市 12,531円 48 岡山市 10,087円
23 大津市 12,493円 49 岐阜市 9,440円
24 横浜市 12,462円 50 奈良市 9,430円
25 福岡市 12,419円 51 大分市 8,847円
26 熊本市 12,361円 52 高知市 8,455円

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データ出典: 総務省統計局「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)