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2023-2025年平均(3年平均)

焼酎1位は宮崎市12,067円、2位鹿児島市。九州南部が独走、最下位の3.18倍差。

公開日: 2026-05-11
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焼酎1位は宮崎市12,067円、2位鹿児島市。九州南部が独走、最下位の3.18倍差。

焼酎1位は宮崎市12,067円、2位鹿児島市。九州南部が独走、最下位の3.18倍差。

焼酎と聞いて思い浮かべるのは、九州南部だろう。鹿児島の芋焼酎、宮崎の芋・麦・そば焼酎。

家計調査で直近3年(2023〜2025年)平均の焼酎支出額を並べると、その印象はそのまま数字に現れている。1位は宮崎市の12,067円、2位が鹿児島市の11,351円。全国平均5,782円のそれぞれ2.09倍、1.96倍。九州南部の2都市だけが、全国平均の2倍近くに到達している。

3位以下は大分市8,521円、北九州市8,280円、山口市8,054円、熊本市7,844円。上位6都市は九州5都市と山口県の山口市で占められ、「焼酎の東」に上位を譲っていない。

宮崎12,067円、鹿児島11,351円、九州南部が独走

焼酎支出額ランキング 2023-2025年 3年平均

上位10都市を並べると、九州・中国地方の厚みがはっきりする。

順位 観測都市 3年平均支出額
1位 宮崎市 12,067円
2位 鹿児島市 11,351円
3位 大分市 8,521円
4位 北九州市 8,280円
5位 山口市 8,054円
6位 熊本市 7,844円
7位 青森市 7,756円
8位 那覇市 7,742円
9位 松江市 7,468円
10位 岡山市 7,455円

1位宮崎市と3位大分市の差は3,546円。宮崎・鹿児島の2都市だけで、3位以下を3,000円以上引き離している。

7位の青森市、8位の那覇市も全国平均を大きく上回る。青森では青森の黒石・鰺ヶ沢など地元焼酎の存在が、那覇ではもともと泡盛を含む蒸留酒消費の厚さが背景にあると考えられる(家計調査の「焼酎」に泡盛が含まれるかは品目定義による)。

なぜ宮崎と鹿児島が抜けているのか

宮崎県と鹿児島県は、日本酒文化の中心である中部・北陸・東北と対照的に、江戸時代から蒸留酒=焼酎の生産・消費が地元文化として根付いてきた地域だ。

宮崎市の焼酎は、芋焼酎だけでなく麦・そば・米焼酎と原料の幅が広い。県内には「霧島酒造」「雲海酒造」「黒木本店」など大手・地酒蔵が密集している。鹿児島市は芋焼酎の本場で、県全体で約100の酒蔵があるとされる。

家庭での支出額が全国平均の2倍近くに達する背景には、地元銘柄の豊富さ・価格帯の広さ・晩酌文化の深さがある。特に宮崎市が鹿児島市を上回っているのは、蒸留酒の原料が多様で世帯が選ぶ銘柄の幅が広いことが一因として考えられる。

ただし「九州ならどこでも焼酎が強い」とは言い切れない。福岡市は16位の6,168円で、全国平均をわずかに上回る程度。同じ九州でも、宮崎12,067円や鹿児島11,351円とは2倍近い差がある。福岡は政令指定都市として都市化が進み、日本酒・ビール・ハイボール・ワイン・ウイスキーなど選択肢が広がった結果、家庭の支出が分散している可能性がある。九州ブロック単位ではなく、都市単位で焼酎文化の濃淡を読む必要がある。

最下位は大津市の3,796円

下位を見ると、日本酒・ワイン文化の強い地域が並ぶ。

順位 観測都市 3年平均支出額
50位 長野市 4,125円
51位 金沢市 3,976円
52位 大津市 3,796円

最下位の大津市3,796円は、1位宮崎市12,067円の約31%。差は3.18倍にのぼる。金沢・長野・京都・横浜・さいたまなど、日本酒やワイン・ビールの消費が厚い地域が下位に並んでいる。

焼酎は「蒸留酒」としての特性と、原料の芋・麦などが手近に取れる気候が関わる。中部・北陸・近畿は酒蔵の長い歴史を持つ一方で、焼酎の主産地ではなく、家庭購入でも下位に位置している。

全国では17年で-21%、全体は縮小中

焼酎支出額の推移 2007-2025年

焼酎支出額の全国平均は、2007〜2009年の7,333円から2023〜2025年の5,782円へと、約21%減少している。

背景には、焼酎ブームのピーク(2000年代前半)からの平準化、ハイボール・クラフトビール・ウイスキーなどへの消費シフトが挙げられる。ピーク期には「焼酎=若年層の流行飲料」として全国区に広がった時期があったが、直近は本場・九州南部の日常消費が太い柱として残る一方で、それ以外の地域では家庭の支出額が着実に減っている。

宮崎市・鹿児島市の上位2都市も例外ではなく、長期的にはやや下げているが、地域全体が下げる中で相対的な2強の地位は維持されている。全国平均の下げ幅より本場2都市の下げ幅が小さく、結果として「相対的な強さ」は保たれている構図だ。

全52観測都市ランキング

家計調査では、都道府県庁所在市と政令指定都市の合計52観測都市を比較できる。3年平均ランキングには相模原市を含む全52都市を並べた。

順位 名称 2023〜2025年平均 順位 名称 2023〜2025年平均
1 宮崎市 12,067円 27 山形市 5,430円
2 鹿児島市 11,351円 28 高松市 5,422円
3 大分市 8,521円 29 宇都宮市 5,402円
4 北九州市 8,280円 30 静岡市 5,401円
5 山口市 8,054円 31 前橋市 5,361円
6 熊本市 7,844円 32 札幌市 5,337円
7 青森市 7,756円 33 新潟市 5,193円
8 那覇市 7,742円 34 千葉市 5,108円
9 松江市 7,468円 35 高知市 5,086円
10 岡山市 7,455円 36 川崎市 5,024円
11 佐賀市 7,340円 37 浜松市 4,942円
12 堺市 6,604円 38 相模原市 4,873円
13 秋田市 6,544円 39 津市 4,861円
14 盛岡市 6,480円 40 徳島市 4,775円
15 奈良市 6,296円 41 松山市 4,742円
16 福岡市 6,168円 42 仙台市 4,720円
17 富山市 5,911円 43 名古屋市 4,698円
18 広島市 5,894円 44 大阪市 4,696円
19 甲府市 5,832円 45 岐阜市 4,633円
20 長崎市 5,814円 46 横浜市 4,507円
21 福井市 5,789円 47 京都市 4,439円
22 鳥取市 5,640円 48 和歌山市 4,378円
23 福島市 5,639円 49 さいたま市 4,369円
24 水戸市 5,518円 50 長野市 4,125円
25 神戸市 5,472円 51 金沢市 3,976円
26 東京都区部 5,451円 52 大津市 3,796円

宮崎12,067円、鹿児島11,351円、大津3,796円

宮崎市12,067円、鹿児島市11,351円、全国平均5,782円、最下位大津市3,796円。1位と最下位で3.18倍、全国平均の2倍を超えるのは宮崎と鹿児島の2都市のみ。九州南部の焼酎文化は、家庭の家計簿にもはっきり残っている。全国が17年で2割減る中で、地域の習慣が最も色濃く残る2都市は、いまも2倍差で全国を見下ろしている。


もっと詳しく

データ出典: 総務省「家計調査」(2007〜2025年・3年平均使用・二人以上の世帯・都道府県庁所在市及び政令指定都市)

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