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40年で日本の食卓から 消えたもの。

47ものがたり vol.4 — データ出典:総務省統計局「家計調査」(1985〜2025年・3年平均使用)

1985年、日本の家庭は米に年間75,302円を使っていた。

2025年の3年平均は29,656円。40年で6割減

消えたのは米だけではない。

まんじゅう−71%。えび−60%。ビール−46%。

40年分の家計調査データを追うと、日本の食卓が静かに、しかし劇的に変わったことがわかる。なお単年の数字はブレやすいため、新旧それぞれ3年平均(1985-1987年 vs 2023-2025年)で比較する。

食卓から消えたもの

1985年と2025年の3年平均を比較して、減少率が大きい品目を並べる。

40年間で消えた食品 TOP10
3年平均ベース: 1985-1987年 → 2023-2025年

まんじゅうが7割減。3,297円から956円へ。和菓子離れの象徴だ。

えびも6割減。かつて「ごちそう」だったえびフライやえびの天ぷらが食卓から遠のいた。まぐろも4割減。魚介類全般が後退している。

消えゆく品目の40年(5年刻み)
年間支出額(円)/ 二人以上の世帯・全国平均

茶色の米の下落が圧倒的だ。75,302円から2020年の23,920円まで、グラフの形が「崖」になっている。

しかし2025年に異変が起きた。米が41,374円に急騰。2024年の米不足と価格高騰が直撃した。40年間下がり続けた米の支出額が、一気に2005年水準まで戻った。「米離れ」は終わったのか、それとも価格の一時的な跳ね上がりか。答えはまだ出ていない。

赤の牛肉は1990年にピークを打ち、BSE問題の2000年代に急落。その後やや戻したが、1985年の水準には遠く及ばない。

みかんは40年前に8,893円。今は4,572円。りんごの記事で触れた「果物の地図が変わった」の正体がここにある。りんご−27%、みかん−44%。代わりにバナナが+103%で台頭した。

食卓に現れたもの

消えたものがあるなら、現れたものがある。

40年間で現れた食品 TOP10
3年平均ベース: 1985-1987年 → 2023-2025年

ヨーグルトが+328%。3,270円から14,001円へ、4倍以上になった。健康ブームの申し子だ。

ワイン+272%、チーズ+233%。乳製品とワインの急成長は、日本の食卓の「洋風化」を数字で証明している。

現れた品目の40年(5年刻み)
年間支出額(円)/ 二人以上の世帯・全国平均

青のヨーグルトの上昇カーブが異常だ。2005年頃から加速し、2015年以降は年間1万2千円を超えた。

チョコレート+177%、納豆+166%も注目に値する。納豆は「安い・健康・手軽」の三拍子で伸びた。

「入れ替わり」が起きている

40年間の変化を整理すると、はっきりしたパターンが見える。

消えたもの現れたもの
米 (−60%)パン (+34〜48%)
牛肉 (−34%)鶏肉 (+40%) / 豚肉 (+29%)
牛乳 (−28%)ヨーグルト (+328%) / チーズ (+233%)
みかん (−44%)バナナ (+103%)
まんじゅう (−71%)チョコレート (+177%) / アイス (+65%)
えび・まぐろ (−40〜60%)弁当 (+67%) / 天ぷら・フライ (+90%)
ビール (−46%)ワイン (+272%) / 焼酎 (+62%)
ハム (−47%)ソーセージ (+30%)

共通するのは、「素材」から「加工品」へのシフトだ。

米が減りパンが増えた。牛乳が減りヨーグルトとチーズが増えた。えびとまぐろが減り、弁当と惣菜が増えた。日本人は「素材を買って料理する」から「加工された食品を買う」に変わった。漁獲量の記事で見る「海から魚が7割消えた」事実は、この食卓変化と表裏一体だ。

40年の食卓

1985年の日本の食卓を想像してみる。

炊きたてのご飯に味噌汁。焼き魚、漬物、みかん。おやつにまんじゅう。晩酌はビール。

2025年の食卓はこうだ。

パンかシリアル。ヨーグルトにバナナ。昼はコンビニ弁当。夜は鶏肉か豚肉のソテー。おやつにチョコレートとアイス。ワインかチューハイ。

40年で、日本の「普通の食事」は別物になった。

ただし2025年、米だけは予想外の動きを見せている。40年間下がり続けた支出額が、米不足をきっかけに急反転した。これが一時的なものか、日本人の米回帰の始まりか。答えは、次の40年が教えてくれる

データ出典:総務省統計局「家計調査」(1985〜2025年・3年平均使用)