日本の海から、 魚が7割消えた。
1984年、日本の漁獲量は1,150万トンだった。世界有数の水産大国だった。
2015年、349万トン。
59年間で、日本の海から魚が7割消えた。
しかし全国一律に減ったわけではない。県によって、その速度はまったく違う。
ピークから97%消えた県
各県のピーク時漁獲量と2015年を比較して、減少率が大きい県を並べる。
東京都が−98%。ピーク時の184万トンから4.5万トンへ。100分の2以下になった。
東京都の漁獲量にはかつて遠洋漁業の水揚げが含まれていた。マグロ遠洋漁船の母港だった東京の漁獲量は、遠洋漁業の衰退とともに消えた。
| 県 | ピーク | 2015年 | 減少率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 184万t (1984) | 4.5万t | −98% |
| 福岡県 | 57万t (1975) | 3.5万t | −94% |
| 福島県 | 58万t (1987) | 4.5万t | −92% |
| 茨城県 | 112万t (1986) | 22.5万t | −80% |
| 北海道 | 249万t (1975) | 86.4万t | −65% |
福島の−92%は東日本大震災の影響が大きい。しかし震災前の2010年でも、ピークの半分以下まで落ちていた。
日本の漁獲量は「崖」を落ちた
1957年から1984年までの27年間で、漁獲量は486万トンから1,150万トンへ2.4倍に増えた。高度経済成長とともに遠洋漁業が拡大した時代だ。
しかし1984年をピークに崖を転がり落ちる。200海里問題、乱獲、海洋環境の変化。わずか30年で3分の1以下になった。
県ごとに「崖の形」が違う
紫の東京は1984年のピーク後、ほぼ垂直に落ちている。遠洋漁業の終焉だ。
青の北海道は緩やかに下降。249万トンから86万トンへ。それでもまだ全国1位で、2位以下を大きく引き離している。北海道だけで全国の4分の1を占める。
赤の長崎は1990年にピークを打ち、その後半減。だが2010年代は下げ止まっている。
魚を食べなくなった日本人
漁獲量の減少は、日本人の食卓にも影を落としている。
食卓の記事のデータと重ねると、えびの消費額は40年で−60%、まぐろは−39%。海からも食卓からも、魚が消えていっている。
かわりに増えたのは弁当(+67%)と天ぷら・フライ(+90%)。魚を「買って料理する」から、「加工された状態で食べる」に変わった。日本の食卓変化の記事で見えた構図と同じだ。
59年の海
1957年の日本は、海に囲まれた水産大国だった。全国で486万トンの魚を獲り、世界の漁獲量の1割以上を占めていた。
2015年の日本は、349万トン。世界シェアは数%に落ちた。
東京の海からは98%の魚が消え、青森からは85%が消えた。北海道だけがかろうじて全国の漁業を支えている。
日本の海はまだ豊かだ。だが59年前の豊かさとは、もう別の海になっている。
データ出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計」(1957〜2015年)